法人の白色申告とは?必要書類と赤字の扱い・青色への切替
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会社の申告書を見て、青色ではなく白色になっていると気づいたら、まず今期の申告と次期の準備を分けて考えます。白色なら帳簿が簡単で済むのか、赤字を繰り越せないのかは、同じ答えではありません。
法人の白色申告でも、取引の記録、決算書の作成、法人税の申告が必要です。通常の白色年度に生じた税務上の赤字は、翌期以降の所得から差し引く「青色欠損金の繰越控除」の対象になりませんが、過去の青色年度の欠損金や災害損失には別の扱いがあります。
青色へ変えるには、原則として対象年度が始まる前日までの承認申請が必要です。今期に間に合わない場合も、帳簿や申告を止めず、次に適用できる年度の期限を確かめましょう。
この記事でわかること
- 白色法人にも必要な帳簿と申告書
- 赤字の発生年度と災害損失による違い
- 青色へ切り替える期限と決算前の準備
法人の白色申告と青色申告の違い

白色と青色は、会社にかかる税金の名前ではなく、法人税の申告方法の違いです。帳簿を付けなくてよいかどうかで選ぶ制度ではありません。税務上の赤字を「欠損金」、所得の計算で差し引く費用などを「損金」といいます。
青色承認がない場合と取りやめた場合
青色申告には税務署長の承認が必要で、それ以外の申告を実務上「白色申告」と呼びます。白色のための承認申請はありません。設立時に青色の申請をしなかった場合や、承認を取り消された場合などに白色になります。
青色承認を受けていても、白色の申告書を提出することはあります。青色申告の取りやめ届も別の手続きです。「今年の申告書が白色だった」という情報だけで、承認の有無や失効した年度まで決めず、申請控えと通知を照合してください。
単式簿記だけで済むという誤解
白色法人にも、必要な帳簿に取引を整然と記録し、その記録から決算を行う義務があります。現金の出入りだけでなく、まだ回収していない売上や未払の仕入れ、設備なども決算に反映する必要があります。
青色には複式簿記などの帳簿要件がありますが、その裏返しで「白色なら家計簿だけで十分」とは言えません。法人の決算書を作れる記録を残す、という出発点は同じです。
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| 確認点 | 白色申告 | 青色申告 |
|---|---|---|
| 事前の承認 | 白色の承認申請はない | 期限までの申請と承認が必要 |
| 取引記録と保存 | 必要 | 必要。青色の帳簿要件もある |
| 決算と法人税申告 | 必要 | 必要 |
| 当期に生じた通常欠損 | 青色欠損金としての繰越は不可 | 所定条件で繰越の対象 |
| 40万円未満の資産特例 | 青色要件を満たさない | 対象法人や取得日等の条件付き |
税率と個人の控除は別の話
青色か白色かだけで、法人税率が切り替わるわけではありません。会社の規模や所得などで税率を確認し、利用できる控除や特例を別に判定します。中小法人の税率も、この区別で整理すると分かりやすくなります。
個人事業主の青色申告特別控除や事業専従者控除は、法人の制度ではありません。法人の家族への給与を、白色だから一律に経費にできないと判断するのも誤りです。役員給与など、それぞれの法人税の要件で確認します。
白色でも必要な帳簿と申告書

白色と分かった後に優先するのは、今期の数字を正しく確定し、期限内に申告できる状態にすることです。提出する書類と、会社で保存する資料を分けて準備します。
取引の記録と領収書の保存
売上・仕入れ・現金預金・売掛金・買掛金・設備など、会社に必要な取引を記録します。帳簿の数字を、請求書や契約書、領収書、銀行明細などと突き合わせられるようにしておきます。
例えば、年度末に売上を計上しても入金が翌期なら、未回収分の売掛金が残ります。現金残高だけを足し引きすると、この売上が抜けます。取引が少ない会社でも、入出金の一覧だけで決算の全体をつかめるとは限りません。
法人は、帳簿(注1)を備え付けてその取引を記録するとともに
出典:国税庁 No.5930 帳簿書類等の保存期間(原文の一部)
原則7年と欠損年度等の10年
法人税上の帳簿・取引書類は、原則として、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存します。領収書の日付や決算日から数えるのではありません。個人の白色申告に出てくる「領収書は5年」を法人へ持ち込まないようにしましょう。
青色欠損金が生じた年度や、白色でも災害損失金額が生じた年度は10年間です。2018年4月1日前に開始した事業年度には9年間という扱いがあります。現在の申告区分だけでなく、保存する年度と欠損の種類を確かめます。
電子メールなどで受け取った取引データは、電子帳簿保存法の保存方法も確認します。関連者間取引では追加の事項を整理・保存する義務が生じる場合もあり、単に紙を7年置くだけで全ての要件を満たすわけではありません。
決算書と法人税申告書の準備
法人は、法人税申告書に必要な別表を付け、貸借対照表・損益計算書、株主資本等変動計算書または社員資本等変動計算書などを準備します。勘定科目内訳明細書や事業概況に関する書類も必要です。通算や組織再編などがあれば、追加書類を確認します。
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| 準備する資料 | 主な目的 | 扱い |
|---|---|---|
| 法人税申告書と別表 | 所得や税額の計算 | 該当するものを提出 |
| 決算書と科目内訳 | 財産と損益の説明 | 所定の書類を添付 |
| 事業概況に関する書類 | 会社の事業等の説明 | 所定の書類を添付 |
| 帳簿と領収書等 | 申告した数字の裏付け | 会社で整理・保存 |
検索で見つかる個人用の収支内訳書や医療費控除の明細書を、そのまま法人の必要書類にすることはできません。用紙は、国税庁の法人税申告手続から、対象の事業年度に合う様式を選びます。
申告と納税の期限
普通法人の確定申告は、原則として事業年度終了日の翌日から2か月以内です。白色でも青色でも、赤字や休業中でも申告が必要です。個人の確定申告のように一律3月15日ではありません。
期限延長や休日の扱いがある場合は、その条件を確かめます。申告期限の延長が、納付や利子税の扱いまで無条件に変えるとは限りません。また、法人税がゼロでも法人住民税の均等割などは別に確認し、必要な申告と納税資金を用意します。
白色法人の赤字は発生年度で確認

「白色だから赤字は全部使えない」と結論を急がず、いつ、何によって生じた赤字かを調べます。会計上の赤字と、法人税の計算で使う欠損金額も、必ず同じとは限りません。
通常の白色赤字と翌期の青色申告
通常の事業活動で生じた欠損金を青色欠損金として繰り越すには、発生した年度に青色の確定申告書を提出していることが基本条件です。白色年度の通常の赤字を、翌期に青色承認を受けたことで青色欠損金へ変えることはできません。
例えば、白色年度に税務上300万円の通常欠損があり、翌期に200万円の所得が出たとします。翌期から青色にしても、その300万円を青色欠損金として翌期所得から差し引くことはできません。災害などの別規定は、次に分けて確認します。
以前の青色年度に発生した欠損金
一方、欠損が生じた年度に青色で申告していれば、その後の申告が白色でも、繰越控除の対象になり得ます。発生後の連続した確定申告と所定の帳簿保存、控除期限、未使用残高などの条件があります。
先ほどとは別の仮例として、有効な青色欠損金が300万円残り、今期の控除前所得が200万円ある会社を考えます。全額控除ができる中小法人等で、他の要件も満たせば、今期200万円を控除し、残り100万円を期限内で次期以降へ繰り越せます。
ただし、大法人等では控除上限が異なり、支配関係の変更などによる制限もあります。青色取消しが過去の発生年度へ及んでいないかも確認が必要です。過去の申告書と欠損金の明細を持ち寄り、国税庁 No.5762の条件と照合します。
災害損失には白色でも繰越の例外
白色年度でも、商品や固定資産などに災害による損失が生じた場合は、災害損失欠損金に相当する部分を10年間繰り越せる制度があります。2018年4月1日前に開始した年度は9年間です。
これは白色年度の赤字総額を無条件で繰り越せる制度ではありません。損害の内容や保険金などの補填、税法上の損失額、申告と保存の要件を整理します。国税庁 No.8009には、被災資産や復旧費用、災害損失の扱いが案内されています。
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| 欠損の発生状況 | 確認する扱い | 最初に見る資料 |
|---|---|---|
| 白色年度の通常欠損 | 青色欠損金の繰越条件を満たさない | 発生年度の申告書 |
| 過去の青色年度の欠損 | 後年白色でも条件付きで繰越可 | 連続申告と未使用残高 |
| 白色年度の災害損失 | 災害損失部分に別の繰越制度 | 損害と補填の明細 |
災害の還付と将来の控除の違い
繰越控除は、将来の所得から欠損金を差し引く仕組みです。赤字の年度に、それだけで現金が入るわけではありません。過去の法人税を対象にする「繰戻し還付」とは区別します。
通常の欠損金の繰戻しは青色申告が基本ですが、災害損失には白色にも特例があります。対象となる災害損失欠損金について、原則として白色は前1年、青色は前2年以内に開始した事業年度の法人税額が対象になり得ます。
災害後の対象期間、連続申告、確定申告書または該当する仮決算の中間申告書と還付請求書の同時提出などが条件です。赤字額全体が返る制度ではなく、還付額や入金日は保証されません。被災時は申告前に、国税庁 No.5763と必要資料を確認してください。
青色申告へ切り替える期限と手順

今期の白色申告の準備と並行して、次に青色を使える年度の期限を確かめます。決算後の申告期限まで待つと、青色の承認申請には間に合わないことがあります。
既存法人は開始日の前日まで
既存法人の申請期限は、原則として青色で申告したい事業年度が始まる日の前日です。3月決算の会社が2027年4月1日開始年度から青色にしたいなら、原則2027年3月31日までに申請します。
今期がすでに始まっている会社が、通常の申請で今期まで自由に遡れるわけではありません。設立初年度などの特例がないかを確かめたうえで、次の対象年度を決めます。
新設法人は二つの日付を比較
普通法人の設立初年度は、設立の日から3か月を経過する日と第1期末を比べ、早い日の前日が申請期限です。「設立から3か月以内」とだけ覚えると、第1期が短い会社で期限を誤るおそれがあります。
表は左右にスクロールできます
| 新設の例 | 比較する日 | 原則の申請期限 |
|---|---|---|
| 4月1日設立で翌3月末決算 | 3か月経過日と翌3月31日 | 6月30日 |
| 4月1日設立で初年度5月末決算 | 3か月経過日と5月31日 | 5月30日 |
初年度が3か月未満の場合には、翌年度にも別の特例期限があります。日付計算や休日の扱いを含め、国税庁の青色申告承認申請の案内で、自社の設立日と事業年度を照合しましょう。
申請後は承認と帳簿体制を確認
申請書はe-Taxまたは書面で提出し、控えや受信通知を残します。申請を送った瞬間に承認が確定するわけではありません。承認通知、または「みなし承認」の条件を確かめます。みなし承認は、法律に定める一定の時点まで承認・却下の処分がなければ、承認されたものと扱う仕組みです。
あわせて、取引を複式簿記で記録する体制、必要な帳簿、証憑の保存方法を整えます。申請書の欄には2026年10月1日以後の記載不要事項の更新もあるため、古い記入例だけに頼らないようにします。詳しい手順は法人の青色申告も参照してください。
取消しと取りやめは対象年度を照合
青色承認の取消しは、必ず翌年度からとは限りません。帳簿の不備や隠蔽・仮装、期限内申告の状況などにより、該当年度まで遡ることがあります。通知に記載された対象年度を確認します。
国税庁の通常の運用では、2事業年度続けて期限内に確定申告がない場合、2年度目以後の承認を取り消す基準があります。ただし、他の取消事由もあり「1回なら必ず大丈夫」という意味ではありません。
グループ内で損益を通算する制度の対象法人(通算法人)を除き、自ら取りやめる場合は、やめる年度の確定申告書の提出期限までに届け出ると、その年度以後の承認の効力が失われます。取消通知や取りやめ届から1年以内の再申請は、法律上、却下できる事由があります。1年後の自動復活や、必ず申請が認められる制度ではないため、適用年度と申請期限を個別に確かめてください。
決算と投資の前に使える制度を整理

白色と青色の違いが分かっても、設備を買うかどうかは別の判断です。今期に使える制度、費用になる時期、会社から出るお金を一緒に見ます。
白色でも通常の費用処理は必要
白色では青色を条件とする特例が使えませんが、事業に必要な費用や通常の減価償却まで全て禁止されるわけではありません。減価償却は、設備などの取得価額を使用期間に応じて費用へ配分する処理です。
取得価額10万円未満の資産を条件付きで当期の損金にする制度や、一定の20万円未満の一括償却資産を3年間で均等に損金算入する制度も、青色限定の40万円未満特例とは別です。会社の経理と資産の条件で判断し、「白色なら10万円以上は全て同じ」とまとめないようにします。
40万円未満の特例は青色などが条件
少額減価償却資産の特例は、青色申告をする一定の中小企業者等が対象です。2026年4月1日以後に取得等した資産は40万円未満が基準となり、それ以前の30万円未満という基準と区別します。
現行の適用期限は2029年3月31日で、原則として常時使用する従業員400人以下、特定の法人は300人以下などの条件があります。年間の適用合計は300万円が上限で、短い事業年度では月数による限度額も確認します。
資本金や大法人との支配関係などの対象法人要件に加え、事業に使い始めること、損金経理、所定明細の添付なども必要です。今期白色であるのに、購入額だけを見てこの特例を使うことはできません。詳細は国税庁 No.5408と少額資産の年間300万円上限で整理します。
税額と支出を分けて残す資金を決める
ここでは、税込経理で取得価額も税込39万円の機器を現金一括で購入し、青色申告を含む特例の要件を全て満たす仮例を考えます。この場合、会社から出る現金39万円と、当期の損金39万円は、金額が同じでも意味が違います。
損金算入は税金を計算する所得から差し引くことで、39万円を返してもらうことではありません。実際の税額への影響は、所得や税率、他の控除などで変わります。白色でも可能な通常償却と比べた差額も、当期の償却額を確認しなければ計算できません。
早く費用にすれば、将来年度に残る償却費は減ります。赤字なら当期の減税につながらないこともあります。実際に未払で買う場合は支払時期も別になるため、節税額だけを理由に不要な設備を購入せず、事業に必要な資金を先に残してください。
今期と次期の資料を一つにまとめる
まず今期の申告と帳簿を整え、過去の青色承認、取消通知、取りやめ届、欠損金の発生年度と残額を確認します。そのうえで、次期の青色申請期限を予定表に入れます。
設備投資を予定しているなら、月次の利益見込み、決算日、納税予定、借入返済、設備の見積書と利用開始予定日を合わせます。承認申請をするだけでなく、実行時期と残すお金まで決めることで、制度を使うために事業資金を減らしすぎる判断を避けられます。
今期が白色でも、次期の承認期限や過去の欠損金、設備投資の条件を整理すれば、比較できる選択肢が見えてきます。申告状況と利益・資金の見込みをそろえ、自社に合う方法を検討しませんか。
法人の白色申告のよくある質問

青色か白色かは何で確認する?
過去の法人税申告書の区分だけでなく、青色承認申請の控え、承認通知、取消通知、取りやめ届などを確認します。申告ソフトで白色を選んだだけでは、現在の承認状況まで確定しません。資料が見つからない場合は、関与税理士や所轄税務署へ確認してください。
赤字でも白色の申告は必要?
普通法人は、赤字や休業中でも法人税の確定申告が必要です。青色申請をしていないことは、申告義務がない理由にはなりません。法人税が発生しなくても、法人住民税の均等割などの申告・納付は別に確認します。
白色申告は自分でできる?
税理士への依頼や会計ソフトの利用が、全ての法人に一律必須というわけではありません。ただし、自分で行う場合も取引の記録、決算、会計上の利益を税法に合わせて直す税務調整、申告書と添付書類の作成が必要です。個人向けの収支内訳書だけで法人申告を済ませず、判断が難しい取引は早めに専門家へ相談しましょう。
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