法人税に均等割はある?赤字時の負担と7万円の条件
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「今年は赤字だから、法人税の支払いはないはず」。そう思っていたのに、決算の資料には法人住民税の納付予定がある。税金の名前が似ているだけに、何に対する支払いなのか戸惑いますよね。
国税の法人税そのものに均等割はありません。均等割があるのは、地方税の法人住民税です。利益が出なかった年度でも、事務所などを置く自治体へ納める均等割が残ることがあります。
よく聞く「年7万円」は、小規模な会社に標準税率を当てはめた場合の目安です。すべての会社に同じ金額がかかるわけではありません。まず税金の名前を分け、次に自社の所在地と規模を確かめると、納付予定が見えてきます。
この記事でわかること
- 法人税と法人住民税の均等割の違い
- 年7万円の目安が当てはまる条件
- 資本金等の額と人数と月数の確認方法
- 支店や休業中の扱いと申告先
- 決算前にそろえたい資料と納税資金
法人税と均等割の違い

赤字なのに納付がある理由は、計算間違いとは限りません。「法人税」とひとまとめに呼んでいた支払いの中に、違う仕組みの地方税が含まれているからです。
国税の法人税と地方税の法人住民税
法人税は、会社の税務上の所得にかかる国税です。税務署への申告で計算します。一方の法人住民税は、会社が事務所などを置く都道府県や市町村に納める地方税です。
手元の申告書や納付書では、税金の名称と提出先を見てください。「法人市民税」「法人県民税」「法人都民税」と書かれていれば、法人住民税の話です。
名前に「地方」が入る地方法人税は国税です。これは法人税額を基礎とする別の税金で、法人住民税の均等割とは異なります。名前の印象だけで分類せず、税目ごとに分けましょう。
「国税(法人税)には均等割はない」
法人住民税の均等割と法人税割
法人住民税には、均等割と法人税割の二つがあります。どちらか一方を自由に選んで計算する制度ではなく、それぞれのルールで計算した額を合わせます。
| 区分 | 金額の決まり方 | 法人税額が0円の場合 |
|---|---|---|
| 法人税割 | 法人税額を基礎に税率を掛ける | 計算基礎となる法人税額が0円なら通常は0円。最終納付額と計算基礎の違いを確認 |
| 均等割 | 資本金等の額や従業者数などで年額を決める | 事務所等があれば納付が残ることがある |
ここでいう法人税額は、法人税割の計算に使う額です。税額控除などにより、国へ最終的に納める法人税の額とは違う場合があります。「国への納付が0円だった」という結果だけで、法人税割も0円と決めないようにします。
均等割は、利益が増えるほど同じ割合で増える税金ではありません。利益とは別に、会社の規模などに応じた区分を当てはめます。「均等」という名前でも、すべての会社が同額という意味ではないのです。
赤字でも均等割の納付が残る理由
会社も、事務所のある地域で道路や行政サービスを利用します。法人住民税は、その地域の費用を法人にも広く負担してもらうための税金です。均等割は所得の有無を直接の計算基準にしないため、赤字だからという理由だけではなくなりません。
もう一つ気を付けたいのが、決算書の赤字と税務上の赤字の違いです。帳簿では費用にしていても、税務では認められない支出があります。決算書が赤字というだけで、法人税額まで必ず0円になるとは言い切れません。
赤字の意味を確認してから、法人税と地方税を別々に見積もる。この順番なら、支払う必要のある税金を落としにくくなります。
均等割が年7万円になる条件

では、年7万円という数字はどこから出てくるのでしょうか。一般的な小規模法人に、道府県と市町村の標準税率を当てはめたときの合計です。
道府県2万円と市町村5万円の標準例
ここでは、資本金等の額が1,000万円以下で、その市内の従業者が50人以下の株式会社を考えます。一つの市に事務所を12か月置き、県と市が標準税率を採用している場合の説明用の例です。
| 納める部分 | 均等割の年額 |
|---|---|
| 道府県民税の部分 | 2万円 |
| 市町村民税の部分 | 5万円 |
| 合計 | 7万円 |
この例は、その会社の法人住民税全体が必ず7万円になるという意味ではありません。法人税割が発生する場合は、その額も別に計算します。小規模区分の標準的な均等割だけを取り出した数字です。
東京都23区では、都が市町村民税相当分も合わせて扱います。県と市に分かれる一般的な説明を、そのまま「都と区の二か所へ払う」と読み替えないようにしましょう。
所在地と税率表で年額を確かめる
標準税率は目安となる税率です。実際には、自治体の条例による上乗せがある地域もあります。
たとえば宮城県は、法人県民税の均等割に標準税率の10%相当を上乗せする「みやぎ環境税」を案内しています。標準年額2万円の区分なら、県の部分に2,000円が加わる計算です。市町村の部分は別に確認します。
自社の金額を知りたいときは、本店や支店のある自治体の公式税率表を見ます。前期の申告書に7万円と書かれていても、今期の資本や人数、拠点が同じとは限りません。
参考:宮城県「みやぎ環境税について」/埼玉県「法人県民税」/草加市「法人市民税の概要」
7万円を一律の最低税額と考えない
設立したばかりで事務所を置いた期間が短ければ、月割になることがあります。複数の自治体に事務所があれば、所在地ごとの確認が必要です。資本金等の額や人数の区分が上がれば、年額も変わります。
休業中の扱いや、公益法人等の非課税・減免にも別の条件があります。ここでは一般の営利法人を中心に説明しており、法人の種類が違えば同じ表をそのまま使えるとは限りません。
「赤字だから年7万円」と先に決めず、自社に当てはまる区分を探す。次の三つを確認すると、その判断が具体的になります。
均等割の資本と人数と月割

均等割の計算では、まず年額の区分を決め、その後に事務所等があった期間を反映します。資本・人数・月数を一度に考えるより、順に見た方が間違いを見つけやすくなります。
資本金等の額と資本準備金の確認
確認するのは、登記簿に載る資本金だけではありません。税務上の「資本金等の額」を基に、一定の無償増資や欠損の穴埋めなどに関する調整も確認します。
さらに、その調整後の額が資本金と資本準備金の合計額に満たない場合は、合計額を用いて区分を判定します。通常の確定申告では、原則として事業年度末の状態を見ます。
仮に調整後の資本金等の額が900万円でも、資本金600万円と資本準備金600万円の合計が1,200万円なら、900万円だけで「1,000万円以下」と判断できません。比べるべき二つの数字をそろえる必要があります。
同じ理由で、登記上の資本金を減らすだけで均等割が必ず下がるわけではありません。減資は手続きや他の税制への影響も伴います。税額表だけで実行を決めず、税理士や司法書士と全体を確認しましょう。
従業者50人の境目の確認
市町村民税の均等割では、資本金等の額に加えて、その市町村内の従業者数を見ます。境目は「50人以下」と「50人超」です。ちょうど50人なら、50人以下の区分になります。
人数は正社員だけとは限りません。給与を受けるべき役員やパート、アルバイトなども確認対象です。全社の人数をそのまま使うのではなく、自治体内にある拠点の人員を整理します。
短時間勤務者には、所定の換算方法もあります。東京都はパート等について、原則として算定期間の末日を含む直前1か月の総勤務時間を170で割り、1人未満の端数を切り上げて人数にする方法を認めています。
ただし、期末や開設日が月の途中にある場合などは別計算です。全員を常に1人ずつ数えるとも、全員をこの方法で換算できるとも決めず、自社の対象者と期間を確認してください。
通常の確定申告で使う人数の時点と、閉鎖した拠点などの扱いは、所在地の公式案内で確かめます。法人税割の分割計算にも人数を使いますが、均等割の区分判定と同じ計算だと思わないことが大切です。
事務所等の月数による月割
年額が分かったら、事務所等を置いていた期間を見ます。基本の計算は「年額×所在月数÷12」です。
標準年額7万円の条件を満たす会社が、4月1日から12月31日まで一つの市に事務所を置くと仮定すると、所在期間は9か月です。県の部分は2万円×9÷12で1万5,000円、市の部分は5万円×9÷12で3万7,500円。合計は5万2,500円になります。
月の途中で開設した場合は、開設した暦月を無条件に丸々1か月とは数えません。全期間が1か月未満なら1か月とし、1か月以上の期間に生じた1か月未満の端数は切り捨てるなど、公式の月数計算に従います。
税額の100円未満の端数にも処理があります。設立日・開設日・閉鎖日を先にそろえ、県と市それぞれで計算してください。年額を最初から一括して丸めると、納付額がずれることがあります。
「(年額×事務所を有していた月数)÷12」
支店や休業中の均等割

資本と人数だけでなく、会社がどこで活動しているかも金額に関わります。本店の住所だけ見て終わりにせず、営業所や寮、休業した拠点も一覧にしましょう。
登記住所と事務所等の実態
事務所や事業所に当たるかは、登記された住所だけで判断するものではありません。人がいること、設備があること、そこで継続的に事業を行っていることなど、実際の状態を見ます。
借りている場所でも、こうした条件を満たせば対象になり得ます。反対に、登記だけを置いた住所と、そこで継続して営業する拠点を同じように扱うこともできません。
事務所等がなく、社員寮などだけがある自治体でも、一定の場合は均等割の対象になります。「従業者が勤務する営業所がないから、申告もない」とは決めないようにしてください。
支店と東京23区の確認
同じ市に営業所が二つある場合と、二つの市に一つずつある場合では、確認する自治体が違います。均等割を「支店数×7万円」で求めるのは適切ではありません。
それぞれの自治体内に対象となる事務所等があるか、その期間は何か月か、人数の区分はどうかを見ます。法人税割で行う従業者数による分割と、均等割の所在地ごとの年額・月割は分けて計算します。
東京都23区は、都が市町村民税相当分も扱う特例があります。複数の区に拠点がある場合や、23区と都内の市町村の両方に拠点がある場合は、主たる事務所などの区分も関係します。どの拠点にも一律7万円を足す計算にはしません。
移転や支店開設を予定しているなら、所在地と日付を都税事務所や関係自治体へ伝え、事前に計算方法を確かめておくと、出店後の資金計画に反映できます。
休業中の活動実態と自治体差
売上がなくなったことと、事務所等がなくなったことは別です。会社を休業させた場合も、事業の停止状況、設備や人員、再開に向けた活動などを確認します。
京都市は、活動を止めて再開の見込みもない場合と、一時休業や再開の準備をしている場合を分けて案内しています。休業の届出を出すだけで、全国一律に均等割がなくなるという説明はできません。
「休業中の均等割の取扱いは課税庁(地方団体)によって異なる」
休業前までの期間について納付が残る場合もあります。いつ何を停止したのかを整理し、県と市それぞれに、届出と申告の扱いを確かめてください。
均等割の申告と納付

納付額の見込みが分かったら、次は提出先と期限です。均等割は、個人の住民税のように自治体がすべて計算してくれるとは考えず、会社側で申告内容を確認します。
都道府県と市町村の申告先
| 税金 | 申告先の基本 |
|---|---|
| 法人税などの国税 | 税務署 |
| 道府県民税 | 都道府県の税事務所等 |
| 市町村民税 | 市町村の担当窓口 |
| 東京23区内の法人住民税 | 市町村民税相当分も含めて都税事務所等 |
通常の営利法人では、市町村側の確定申告に第20号様式、都道府県側には第6号様式などを使います。複数拠点がある場合は、所在地や分割基準に関する明細も確認します。
地方税はeLTAXによる電子申告・納付を利用する方法もあります。窓口や金融機関を利用する場合も、対象の税目と対応する方法を自治体の案内で確かめてください。申告と納付は別の手続きなので、片方だけで終わらせないことが大切です。
確定申告と中間申告の期限
通常の確定申告・納付は、原則として事業年度終了日の翌日から2か月以内です。期限が休日に当たる場合や、延長の承認がある場合などには別の扱いがあります。
対象となる会社では、年度途中の中間申告・納付も必要です。今期の決算書が赤字だからという理由だけで不要とは決めず、前期の税額や事業年度などの条件を確認します。
申告期限を延ばす場合は、国税の手続きだけで地方税まで済むと思わないでください。東京都は、国税に延長申請した場合に都税事務所にも別途申請等が必要になることを案内しています。
申告期限、納付期限、延長期間の利子税・延滞金等は、それぞれの税目と承認状況で確認します。「期限を延ばせば追加負担もない」と判断せず、当初の納付予定と併せて税理士へ相談しましょう。
参考:周南市「法人市民税の申告納付」/東京都主税局「申告書の提出期限の延長の申請等」
均等割の会計処理と損金不算入
帳簿で費用にしたものを、法人税の計算でもすべて差し引けるわけではありません。「損金」は、法人税の所得計算で差し引ける費用などのことです。法人住民税の本税は、この損金に算入されません。
たとえば、決算で均等割7万円を費用にし、まだ払っていない額を「未払法人税等」などの負債に計上したとします。税務の所得計算では、帳簿で引いた費用7万円を足し戻します。これが加算調整です。
加算する7万円は、税額がそのまま7万円増えるという意味ではありません。税額計算の前に、会計上の利益を税務上の所得へ直すための調整です。実際の計上時期や申告書の処理は、自社の決算資料で確認してください。
「都道府県民税および市町村民税の本税」
出典:国税庁「No.5300 租税公課等の損金算入の可否と租税の損金算入時期」の損金に算入されない主な租税公課等
赤字でも残る別の税金
均等割を確認できても、会社の納付予定がすべて分かったわけではありません。消費税を納める義務がある会社(課税事業者)の消費税、給与から預かった源泉所得税や個人住民税などは、会社の利益とは別の条件で支払いが生じます。
大きな会社などには、所得だけでなく資本や付加価値なども基準にする法人事業税の「外形標準課税」が適用されます。均等割とは違う制度です。2025年・2026年の対象拡大を含め、自社が該当するかは別に判定します。
2026年4月1日以後に開始する事業年度からの防衛特別法人税も、法人税額を基礎とする別の国税です。均等割の追加分ではなく、税額が0円でも申告が必要となる場合があります。
これらを一つの「赤字の税金」として計算し直す必要はありません。税目ごとに金額と期限を並べ、口座から出ていく合計を見ておくことが大切です。
均等割と納税資金の準備

ここまで分かれば、税率表を見て迷う前に何を用意すればよいか整理できます。前期と同じ7万円を転記するより、今期に変わったことから確認しましょう。
拠点と稼働月数を一覧にする
本店・支店・営業所・寮などの所在地を一枚にまとめ、開設日、移転日、閉鎖日を入れます。休業中なら、事業活動を停止した日と現在の状態も書きます。
賃貸借契約や人員配置、設立・異動の届出もそろえておくと、事務所等の実態と月数を説明しやすくなります。これらは判断のための資料であり、全国一律にすべてが確定申告書の添付書類になるという意味ではありません。
資本と人数と前期申告書をそろえる
資本金・資本準備金・調整後の資本金等の額、期末の従業者数を確認できる資料を並べます。今期に増資や減資、採用、拠点の変更があれば、前期との違いをメモしてください。
前期の申告書は出発点にはなりますが、今期の答えそのものではありません。現在の自治体税率表と資料を照合し、同じ区分でよいかを確かめます。
判断に迷う部分は、資料を見ながら税理士や自治体へ確認します。「赤字ですがいくらですか」と聞くより、所在地・資本・人数・期間が分かる状態なら、具体的な確認を進められます。
納付資金と節税策を別に考える
納付が必要な税金は、期限と金額を資金繰り表に入れます。売掛金の入金より納付が先になるなら、その間の資金をどう残すかも考えておきましょう。
すでに赤字の会社が、節税のためだけに新たな支出を増やすと、手元のお金がさらに減りかねません。まず必要な納税資金と運転資金を確保することが先です。
今後利益が出る見込みなら、将来の税負担や節税策は別に比較できます。その際も、商品を購入すれば均等割がなくなるわけではありません。今期の納付予定、来期の利益、使える資金を分けて、会社に合う方法を考えましょう。
赤字年度の対策を詳しく確認したい方は、赤字法人の節税対策も参考になります。過去の税金を戻す還付と将来の控除は、均等割の計算とは別の制度として整理してください。
法人税と均等割のよくある質問

法人税に均等割はありますか?
国税の法人税そのものに均等割はありません。均等割があるのは、地方税の法人住民税です。法人税額が出ない年度でも、事務所等がある自治体への均等割の納付が残ることがあります。
赤字でも7万円を払いますか?
赤字でも均等割が生じることはありますが、金額が必ず7万円とは限りません。資本金等の額1,000万円以下・市町村内の従業者50人以下・一つの市に事務所等を12か月置く小規模法人なら、標準税率による道府県2万円と市町村5万円の合計7万円が目安です。自治体の上乗せ、月割、拠点、休業等の条件も確認します。
減資すると均等割も下がりますか?
登記上の資本金を減らすだけでは、均等割が必ず下がるわけではありません。調整後の資本金等の額と、資本金・資本準備金等の合計との比較が必要です。減資の手続きや他の税制への影響も含め、税理士や司法書士と確認してください。
パートも従業者数に含めますか?
正社員だけでなく、給与を受けるべき役員やパート、アルバイトなども確認対象です。短時間勤務者には一定の換算方法があるため、全員を常に1人ずつ数えるとは限りません。通常の確定申告では期末の人数を基本に、自治体内の拠点と勤務状況を公式案内に照らして確認します。
支店や休業中の会社にもかかりますか?
支店等がある場合は、所在地ごとの事務所等の実態、人数、期間を確認します。単純に支店数へ7万円を掛ける計算ではありません。休業中の取扱いは自治体によって異なり、休業の届出だけで全国一律に免除されるわけでもありません。
いつどこへ申告して納付しますか?
一般的な営利法人の確定申告・納付は、原則として事業年度終了日の翌日から2か月以内です。道府県民税は都道府県、市町村民税は市町村へ申告します。東京23区は都が市町村民税相当分も扱います。中間申告の対象や期限延長、納付方法は自社と各税目の条件で別に確認してください。
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