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個人事業主の確定申告|期限と手順、65万円控除までの流れ

個人事業主の確定申告の期限と手順、65万円控除までの流れをまとめた図

確定申告の時期になるたびに慌てて資料を集めている。青色と白色でどれだけ違うのかも、経費にできる範囲もあやふやなまま、去年と同じやり方で出してしまっている。

申告の期限は原則としてその年の翌年3月15日です。押さえるべき順番は決まっていて、まず青色申告で65万円控除を取り切り、次に所得控除の漏れを拾い、最後に必要経費を正しく判定します。この順で組み立てれば、毎年同じ手順で終えられます。

この記事でわかること

  • 申告と納付の期限
  • 青色と白色で変わる金額
  • 65万円控除に必要な要件
  • 必要経費として認められる範囲
  • 計上する年をどう決めるか
  • 申告までの具体的な手順

自分の申告に漏れがないか確認しませんか

所得と経費の内訳が分かれば、取りこぼしている控除を洗い出せます。

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目次

期限は原則3月15日

確定申告の提出期限と納付期限を示した図

まず日付を押さえます。申告と納付は同じ日が期限です。

申告は2月16日から3月15日まで

確定申告の期間は、原則としてその年の翌年2月16日から3月15日までです。

期限が土日祝にあたる場合は、翌開庁日にずれます。年によって数日変わるので、その年の日付を確認してください。

還付を受けるだけの申告なら、2月16日を待たずに提出できます。

納付も同じ3月15日が期限

所得税の納付期限も申告期限と同じ日です。

申告書を出しただけでは終わりません。納付を忘れると延滞税がかかります。

振替納税を利用すれば、口座からの引き落としは4月中旬まで延びます。資金繰りに余裕を持たせたいなら申し込んでおく価値があります。

消費税は別の期限

課税事業者なら消費税の申告と納付は3月31日が期限です。

所得税とは日付が違います。インボイス発行事業者になった人は、この期限も管理する必要があります。

所得税の作業を終えたところで気が抜けやすい時期です。カレンダーに入れておいてください。

手続き 期限
所得税の申告 翌年2月16日から3月15日
所得税の納付 翌年3月15日
消費税の申告・納付 翌年3月31日
青色申告の承認申請 適用したい年の3月15日

所得税の作業を終えたところで気が抜けやすい時期です。カレンダーに入れておいてください。

出典: 国税庁 タックスアンサー No.2020 確定申告

青色と白色で変わる金額

青色申告と白色申告で変わる控除額と特典の違いを示した図

同じ売上と経費でも、申告の種類だけで税額が変わります。

最大65万円が課税所得から引ける

青色申告なら青色申告特別控除として最大65万円を差し引けます。

現金を1円も使わずに課税所得が65万円下がります。課税所得400万円の人なら、所得税と住民税を合わせておよそ19.8万円の差になります。

白色申告にはこの控除がありません。帳簿の付け方と申告方法を変えるだけで得られる差です。

赤字を3年繰り越せる

青色申告ならその年の赤字を翌年以後3年間繰り越して所得と相殺できます。

開業初年度に設備投資が重なって赤字になった場合、翌年以降の黒字と相殺できます。白色ではこれができません。

繰り越すには、赤字の年も期限内に申告している必要があります。赤字だから出さなくてよいということはありません。

家族への給与を経費にできる

青色事業専従者給与の届出を出せば、生計を一にする親族へ支払う給与を必要経費にできます。

白色申告では、事業専従者控除として配偶者86万円、その他の親族50万円という定額の枠しかありません。

青色なら労務の対価として適正な額であれば全額が経費です。届出書に記載した金額の範囲内という制約はあります。

項目 青色申告 白色申告
特別控除 最大65万円 なし
赤字の繰越 翌年以後3年間 できない
家族への給与 適正な額を全額経費 定額の控除のみ
帳簿 複式簿記が原則 簡易な記帳
この記事の試算の前提

所得税(超過累進税率)と復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)に、住民税の所得割を一律10%として加えた概算です。国民健康保険料の減少は含んでいません。控除により課税所得が下の税率帯へ移る場合は金額が変わります。

65万円控除に必要なこと

青色申告特別控除65万円を受けるための要件を示した図

青色申告なら自動で65万円ではありません。要件を落とすと55万円や10万円まで下がります。

複式簿記と貸借対照表

まず複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添付することが前提です。

会計ソフトを使えば、取引を入力するだけで複式簿記の帳簿ができます。手書きで仕訳を切る必要はありません。

簡易な帳簿しか付けていない場合は10万円までです。ここで55万円分の差がつきます。

期限内に申告する

期限後の申告になると、控除は10万円まで下がります

複式簿記で記帳していても、3月15日を1日過ぎるだけで55万円分を失います。金額としてはかなり大きな差です。

間に合わないと思ったら、概算でもよいので期限内に出して後から修正するほうが有利になることがあります。

e-Taxか優良な電子帳簿

65万円にするには、e-Taxで申告するか優良な電子帳簿を保存することが必要です。

どちらか一方で足ります。多くの人にとってはe-Taxのほうが手軽です。マイナンバーカードとスマートフォンがあれば送信できます。

紙で提出すると、他の要件を満たしていても55万円までです。

控除額 必要な条件
65万円 複式簿記+期限内申告+e-Taxまたは優良な電子帳簿
55万円 複式簿記+期限内申告
10万円 簡易な帳簿、または期限後申告

紙で提出すると、他の要件を満たしていても55万円までです。

出典: 国税庁 タックスアンサー No.2072 青色申告特別控除

必要経費として認められる範囲

必要経費として認められる支出の範囲と家事関連費の扱いを示した図

経費の線引きは条文に書かれています。感覚ではなく基準で判断します。

売上に対応する原価と業務上の費用

必要経費になるのは、総収入金額に対応する売上原価と、その年に生じた販売費・一般管理費その他業務上の費用です。

売上を得るために直接要した費用と、事業を回すためにかかった費用の二つに分かれます。

事業に関係のない支出は入りません。個人的な飲食や旅行を交際費として計上するのは通りません。

家事関連費は区分できる分だけ

生活と共用しているものは、業務の遂行上直接必要だったことが明らかに区分できる金額に限られます

自宅兼事務所の家賃、電気代、通信費がこれにあたります。床面積や使用時間で按分し、根拠を残しておきます。

区分の基準を書いたメモと間取り図があれば説明できます。感覚で半分にすると否認の対象になります。

経費にならないものもある

所得税や住民税、罰金や科料、生計を一にする親族への地代家賃は経費になりません

事業税や固定資産税は経費になります。税金の種類で扱いが分かれるので、まとめて処理しないでください。

国民健康保険料と国民年金保険料は経費ではありませんが、社会保険料控除として所得から差し引けます。

国民健康保険料と国民年金保険料は経費ではありませんが、社会保険料控除として所得から差し引けます。

出典: 国税庁 タックスアンサー No.2210 必要経費の知識

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計上する年の決め方

必要経費を計上する年を債務確定基準で判定する考え方を示した図

支払った年ではありません。ここを間違えると年をまたいだ処理が崩れます。

債務が確定した年に計上する

必要経費はその年において債務の確定した金額で計上します。

12月31日までに債務が成立し、給付すべき原因となる事実が発生し、金額が合理的に算定できていることが要件です。

12月分の家賃を翌年1月に払っていても、12月分として債務が確定していればその年の経費です。

前払いは経費にならない

翌年分をまとめて払っても、その年の経費にはなりません

翌年1年分の家賃を12月に前払いしても、原則としてその年の経費にはできません。前払費用として資産に計上します。

ただし1年以内に役務提供を受けるもので毎年継続して同じ処理をしている場合は、支払った年の経費にできる短期前払費用という扱いがあります。

売上も同じ考え方

収入も入金した年ではなく、権利が確定した年に計上します。

12月に納品して1月に入金された売上は、12月の売上です。入金だけを見て記帳すると年をまたいでずれます。

売掛金として計上し、翌年の入金で消し込む流れになります。

112月31日時点で債務が確定しているか確認
2前払分を資産に振り替える
3未払分を計上する
412月納品分の売掛金を計上
5残高を確認する
押さえておきたい点

支払った日でも入金した日でもなく、債務や権利が確定した日で年を決めます。年末年始をまたぐ取引ほど確認が必要です。

所得控除の取りこぼし

個人事業主が取りこぼしやすい所得控除を示した図

経費を増やすより先に、使える控除を全部使い切るほうが確実です。

社会保険料控除は全額

国民健康保険料と国民年金保険料は、支払った全額を所得から差し引けます

家族の分を自分が払っている場合、その分も自分の控除に入れられます。世帯でまとめて払っているなら見直してください。

国民年金の前納をした場合、その年に払った全額を控除するか、各年分に按分するかを選べます。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済とiDeCoの掛金は、全額が所得控除になります。

小規模企業共済は月7万円、iDeCoは国民年金基金等と合わせて月6.8万円が上限です。上限は別枠なので合計で年165.6万円まで積めます。

経費と違って現金が事業から出ていきますが、将来戻ってくる形の支出です。

医療費控除と寄附金控除

年間の医療費が10万円または総所得金額等の5%を超えた分を差し引けます。

生計を一にする家族の分を合算できます。通院の交通費も対象です。領収書を年間まとめて集計してください。

ふるさと納税を含む寄附金控除も忘れやすい項目です。個人事業主はワンストップ特例が使えないので、確定申告での申請が必要です。

控除 内容
社会保険料控除 国民健康保険料・国民年金保険料の全額
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済とiDeCoの掛金の全額
医療費控除 10万円または総所得金額等の5%を超えた分
寄附金控除 ふるさと納税を含む
生命保険料控除 契約の種類ごとに上限あり

申告までの手順

個人事業主の確定申告を進める手順を示した図

順番に片付ければ迷いません。毎年同じ流れで終えられます。

まず資料を集める

売上と経費の資料、控除証明書、通帳の記録を一か所に集めます

国民年金保険料の控除証明書、生命保険料の控除証明書、小規模企業共済の掛金払込証明書は秋から冬にかけて届きます。なくさないよう1か所にまとめておきます。

電子取引でやりとりした請求書や領収書は、データのまま保存する義務があります。印刷して原本を消さないでください。

帳簿を締めて決算書を作る

12月末時点で未払いと前払い、売掛金と買掛金を整理します。

会計ソフトを使っていれば、入力が済んでいれば決算書は自動で出ます。手を入れるのは年末の調整だけです。

減価償却費の計算と、少額減価償却資産の特例を使うなら決算書への記載もこの段階です。

e-Taxで送信する

確定申告書等作成コーナーで作って、期限までにe-Taxで送信します。

65万円控除を取るならe-Taxでの提出が要件のひとつです。マイナンバーカードとスマートフォンがあれば自宅から送れます。

送信したら受信通知を保存しておきます。提出した証拠になります。

1資料を1か所に集める
2帳簿を締めて年末調整
3決算書を作る
4所得控除を入力
5期限内にe-Taxで送信

つまずきやすいところ

個人事業主の確定申告でつまずきやすい点を示した図

毎年同じところで止まる人が多い箇所を挙げます。

承認申請を出していない

青色申告をするには、適用したい年の3月15日までに承認申請書を出す必要があります。

申告のときに青色を選べるわけではありません。申請を出していなければ、どれだけ丁寧に帳簿を付けても白色です。

その年の1月16日以後に開業した場合は、開業から2か月以内が期限です。開業届と一緒に出しておくのが確実です。

納付を忘れる

申告書を送っただけで終わったつもりになり、納付を忘れて延滞税がかかることがあります。

振替納税を申し込んでおけば、口座から自動で引き落とされます。忘れる心配がなくなり、引き落としも4月中旬まで延びます。

予定納税の対象になっている場合は、7月と11月にも納付があります。こちらも見落としやすい項目です。

按分の根拠を残していない

家賃や通信費を按分しているのに、計算の根拠を何も残していないというケースが多くあります。

間取り図に業務で使う範囲を書き込んだものと、計算式を書いたメモの2枚で足ります。作るのは一度きりで、翌年以降は使い回せます。

税務調査で聞かれたときに説明できるかどうかが分かれ目です。

押さえておきたい点

青色申告の承認申請は、適用したい年の3月15日までです。この日を過ぎると、その年はどうやっても白色申告になります。

疑問点をそのままお持ちください

適用できるかどうかの判定だけでもご利用いただけます。費用はかかりません。

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個人事業主の確定申告に関するよくある質問

個人事業主の確定申告に関するよくある質問をまとめた図

実務へ落とし込むときに、相談として多く寄せられる論点をまとめます。

確定申告の期限はいつですか?

原則として翌年3月15日です。

原則としてその年の翌年2月16日から3月15日までです。所得税の納付期限も3月15日で同じです。期限が土日祝にあたる場合は翌開庁日にずれます。課税事業者なら消費税の申告と納付は3月31日が期限で、日付が違います。

青色申告にするにはどうすればいいですか?

適用したい年の3月15日までに承認申請書を出します。

適用したい年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出します。その年の1月16日以後に開業した場合は、開業から2か月以内です。申告のときに選べるものではなく、事前の申請が必要です。

65万円の控除を受ける条件は何ですか?

複式簿記と期限内申告に加えてe-Taxまたは優良な電子帳簿が必要です。

複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添付して期限内に申告することが前提です。そのうえでe-Taxで提出するか、優良な電子帳簿を保存する必要があります。紙で提出すると55万円まで、期限後だと10万円まで下がります。

赤字でも申告は必要ですか?

繰越したいなら赤字の年も期限内申告が必要です。

青色申告で赤字を翌年以後3年間繰り越したいなら、赤字の年も期限内に申告する必要があります。申告しなければ繰越できません。開業初年度に設備投資が重なった場合など、繰越の価値は大きくなります。

12月に払った翌年分の家賃は経費になりますか?

原則としてその年の経費にはなりません

原則としてなりません。必要経費はその年に債務が確定した金額で計上します。翌年分は前払費用として資産に計上します。ただし1年以内に役務提供を受けるもので、毎年継続して同じ処理をしている場合は支払った年の経費にできます。

納付を遅れるとどうなりますか?

延滞税がかかるので振替納税の申し込みが有効です。

延滞税がかかります。申告書を提出しただけでは納付は完了しません。振替納税を申し込んでおけば口座から自動で引き落とされ、引き落とし日も4月中旬まで延びるので、忘れる心配と資金繰りの両方に効きます。


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