タックスコンサルティング

即時償却 確定申告|必要書類と申告書への記載を解説【2026年】

即時償却の確定申告に必要な書類・経理処理・記載・保管をまとめた図

設備を導入し、計画の認定も受けた。ところが最後の確定申告で書類が足りず適用を受けられなかった、という事故は実際に起きています。会計上は損金にしたつもりでも、申告書に必要な明細が添付されていなければ制度は使えません。ここは取り返しがつかない工程です。

確定申告書には、償却限度額の計算に関する明細書に加えて、経営力向上計画の写しとその認定書の写しを添付する必要があります。これらの添付は適用の要件であり、経理処理として損金経理していただけでは認められません。会計処理は損金経理と剰余金の処分による準備金方式のどちらかを、決算作業に入る前に決めておきます。

この記事でわかること

  • 即時償却 確定申告の全体像
  • 確定申告に必要な書類
  • 会計処理は損金経理か準備金方式かを選ぶ
  • 即時償却と税額控除で申告書の書き方が変わる
  • 申告で起きやすいミスと防ぎ方

自社に合う節税策を確認しませんか

決算期と利益の見込みが分かれば、使える制度と実行時期を順序立てて整理できます。

無料相談フォームへ

目次

即時償却 確定申告の全体像

即時償却 確定申告の全体像の要点を整理した図

申告の工程は、会計処理の決定、明細の作成、添付書類の準備、申告書の提出という順に進みます。

1会計処理の決定
2償却額の計算
3明細の作成
4添付書類の準備
5申告書の提出

添付は適用の要件であって任意ではない

特別償却の適用を受けるには確定申告書等に償却限度額の計算に関する明細書を添付する必要があり、 添付が漏れると制度そのものの適用を受けられません 会計上で費用計上していれば足りる、という制度ではありません。

修正申告や更正の請求で後から救済されるとは限りません。申告期限までにそろえることを前提に、決算作業の段階から準備してください。

経営力向上計画と認定書の写しも必要になる

明細書に加えて、 経営力向上計画の写しとその認定書の写しを添付する必要があります 計画の申請時に控えを残していないと、申告直前に慌てることになります。

計画の申請書、認定書、工業会等の証明書または経済産業大臣の確認書は、申請の時点で写しをまとめて保管しておいてください。

様式は年度によって変わることがある

申告書の様式や付表の番号は改正で変わることがあるため、 その年度の様式を国税庁のサイトで確認してから作成してください 前年の様式をそのまま流用すると、記載欄が合わないことがあります。

顧問税理士が申告を行う場合でも、添付書類の原本を用意するのは会社側です。何を渡す必要があるかを早めに確認しておくとスムーズです。

顧問税理士が申告を行う場合でも、添付書類の原本を用意するのは会社側です。何を渡す必要があるかを早めに確認しておくとスムーズです。

出典: 国税庁|No.5434 中小企業経営強化税制

確定申告に必要な書類

確定申告に必要な書類の要点を整理した図

会社側で用意するものと、申告書として作成するものに分かれます。

区分 書類 入手先・作成者
申告書に添付 償却限度額の計算に関する明細書 会社または税理士が作成
申告書に添付 経営力向上計画の写し 申請時の控え
申告書に添付 経営力向上計画に係る認定書の写し 主務大臣から交付
社内保管 工業会等の証明書または確認書の写し メーカー・経済産業局
社内保管 契約書・請求書・検収書 設備メーカー・販売店

明細書は減価償却の計算過程を示すもの

減価償却資産の償却額の計算に関する明細書(別表十六の系統)に、 普通償却限度額と特別償却限度額を分けて記載します 即時償却の場合、特別償却限度額は取得価額から普通償却限度額を差し引いた額になります。

どの様式を使うかは償却方法によって異なります。定額法と定率法で別表が分かれているため、自社の償却方法を確認してから作成してください。

租税特別措置法の適用には適用額明細書が必要になる

この制度は租税特別措置法に基づく措置であるため、 適用額明細書の添付も必要になります 複数の特例を使っている場合は、まとめて1枚に記載します。

適用額明細書は税額控除を選んだ場合にも必要です。記載漏れがあると特例の適用が受けられないことがあるため、確認してください。

証憑は申告後も保管する

契約書、請求書、検収書、設置状況の写真、取得価額の内訳が分かる資料は、 税務調査で事実関係を示す資料としてそのまま使えます 申告が終わったら処分してよい書類ではありません。

据付費や運搬費を取得価額に含めたかどうかで金額基準の判定が変わることがあります。内訳の分かる見積書と請求書は必ず残してください。

会計処理は損金経理か準備金方式かを選ぶ

会計処理は損金経理か準備金方式かを選ぶの要点を整理した図

税効果は同じですが、決算書の見え方が変わります。決算作業に入る前に決めておく項目です。

方式 会計上の処理 決算書の利益
損金経理方式 償却費として費用計上する 圧縮される
特別償却準備金方式 剰余金の処分により準備金を積み立てる 維持される

損金経理方式は決算書の利益も同時に下がる

償却費として費用計上するため処理は簡単ですが、 会計上の利益と自己資本も同時に小さくなります 金融機関へ提出する決算書の見え方に影響します。

設備投資の資金を借入で賄っている会社や、近く融資を受ける予定がある会社では、この影響を無視できません。

準備金方式なら会計上の利益を保てる

剰余金の処分により特別償却準備金として積み立てる方法を選べば、 会計上の利益を落とさずに税務上の損金だけを計上できます 税額への効果は損金経理方式と同じです。

積み立てた準備金は、その後一定の期間にわたって取り崩して益金に算入していく処理が必要になります。処理が続く点は理解しておいてください。

方式は決算作業の前に決めておく

準備金方式は株主総会での剰余金の処分の決議を伴うため、 決算作業が始まってから切り替えるのは困難です どちらで進めるかを、着地見込みが固まった段階で顧問税理士と決めてください。

方式の選択は税額に影響しないため、判断基準は決算書をどう見せたいかになります。融資の予定があるかどうかが実務上の分かれ目です。

即時償却と税額控除で申告書の書き方が変わる

即時償却と税額控除で申告書の書き方が変わるの要点を整理した図

どちらを選ぶかで、記載する明細も変わります。手続きの前半は共通です。

即時償却は償却額の明細に記載する

即時償却を選んだ場合は減価償却の枠組みで処理するため、 償却限度額の計算に関する明細書に特別償却限度額を記載します 取得価額の全額が償却限度額になります。

普通償却限度額と特別償却限度額を分けて記載する点に注意してください。両者を合計した額が、その事業年度の償却限度額になります。

税額控除は税額の計算に関する明細に記載する

税額控除を選んだ場合は減価償却を通常どおり行いながら、 税額控除に関する明細書で控除額を計算して法人税額から差し引きます 控除額は取得価額の10%(資本金の額等が3,000万円超の法人は7%)です。

その事業年度の法人税額の20%という上限があります。控除しきれなかった額は1年間繰り越せるため、繰越額の管理も必要になります。

いったん申告すると変更できない

即時償却と税額控除は選択適用であるため、 確定申告書を提出したあとで有利なほうへ変更することはできません 決算の着地が見えた段階で、翌期以降の利益見込みまで含めて判断してください。

単年度の税額だけを見て決めると、後から不利になることがあります。少なくとも翌期までの損益見込みを置いて比較するのが安全です。

申告で起きやすいミスと防ぎ方

申告で起きやすいミスと防ぎ方の要点を整理した図

実務で実際に起きているつまずきを挙げます。

添付書類の漏れ

明細書は作成したが認定書の写しを添付していない、というケースが典型で、 添付漏れは適用そのものを失う結果につながります 申告前に添付書類のチェックリストを作って確認してください。

顧問税理士に依頼している場合でも、認定書などの原本を用意するのは会社側です。何を渡す必要があるかを事前にすり合わせてください。

事業供用日の判定ミス

取得しただけでは適用できず事業の用に供している必要があるため、 決算日までに設置・稼働していなければ当期の損金にはできません 納品済みでも据付や試運転が終わっていない状態は、事業供用として認められない可能性があります。

検収日と稼働開始日が分かる資料を残してください。写真や作業日報が有効です。

計画の記載と取得設備の不一致

認定を受けた計画に記載した設備と実際に取得した設備が異なる場合、 認定の内容と食い違うため適用が認められないことがあります 型式変更があった場合は、変更認定が必要かを確認してください。

メーカー都合で後継機種に変わることは実務上よくあります。契約前後の変更は必ず計画との整合を確認してください。

自社の場合はどうなるか確認しませんか

制度要件・資金繰り・実行期限を自社の数字に当てはめて整理できます。

自社のケースを相談する

税務調査に備えて残す資料

税務調査に備えて残す資料の要点を整理した図

申告が通ったあとに問われるのは、事実関係を示せるかどうかです。

事業でどう使っているかを示せる資料を残す

節税だけを目的として実態のない設備を計上したと判断されると、 損金算入が否認され追徴課税となる可能性があります 稼働記録、作業日報、設置状況の写真などが実態を示す資料になります。

制度の要件を満たしていることと、事業上の必要性を説明できることは別の問題です。両方そろって初めて安全な処理になります。

取得価額の内訳を説明できるようにする

据付費や運搬費などの付随費用を取得価額に含めたかどうかで、 金額基準の判定や償却額が変わることがあります 見積書と請求書の内訳が分かる形で保管してください。

値引きがあった場合の処理も確認が必要です。取得価額の考え方は、契約段階で顧問税理士に確認しておくと安全です。

申告の前に済ませておく手続き

申告の前に済ませておく手続きの要点を整理した図

申告はゴールであって、その前段が終わっていなければ意味を持ちません。

証明書と計画認定は設備の取得前に済ませる

工業会等の証明書または経済産業大臣の確認書は設備の取得前に申請する必要があり、 認定を受けてから設備を取得するのが原則の順序です 現在の類型はA・B・D・Eの4つで、C類型は2025年4月1日をもって廃止されています。

例外として、設備の取得日から60日以内に経営力向上計画が受理され事業供用年度内に認定を受けられれば適用が認められる取扱いがありますが、令和7年度税制改正の拡充枠には適用されません。

適用期限までに事業供用まで終える

制度の適用期限は2027年3月31日までとされており、 この日までに設備の取得と事業供用まで終えている必要があります 書類の準備期間を含めると、着手は決算の3〜6か月前が目安です。

納期の長い設備ほど前倒しが必要です。申告の段階で気づいても、手続きをさかのぼることはできません。

税理士に依頼する場合と自社で行う場合

税理士に依頼する場合と自社で行う場合の要点を整理した図

どこまでを自社で持つかを決めておくと、抜け漏れが減ります。

原本の準備は会社側の仕事になる

申告書の作成を税理士に依頼していても、 認定書や証明書、契約書といった原本を用意するのは会社側です 何をいつまでに渡す必要があるかを、決算前に確認しておいてください。

書類がそろわないまま申告期限を迎えると、適用を諦めるか期限後申告になります。どちらも避けたい結果です。

B・D・E類型では早い段階から連携する

B類型以降は投資計画について税理士または公認会計士の事前確認書が必要になるため、 設備の検討段階から顧問税理士に関与してもらう必要があります 申告の段階で初めて相談しても、手続きをさかのぼることはできません。

A類型であればメーカーとのやり取りが中心のため、自社対応の余地は大きくなります。まずどの類型で進めるかを確認してください。

即時償却 確定申告に関するよくある質問

即時償却 確定申告に関するよくある質問の要点を整理した図

実務へ落とし込むときに、相談として多く寄せられる論点をまとめます。

確定申告で何を添付すればよいですか?

明細書に加えて、 経営力向上計画の写しと認定書の写しの添付が必要です

償却限度額の計算に関する明細書に加えて、経営力向上計画の写しとその認定書の写しを添付します。租税特別措置法の適用を受けるため適用額明細書も必要です。様式は年度で変わることがあるため、その年度の様式を国税庁のサイトで確認してください。

添付を忘れた場合は後から出せますか?

添付は適用の要件であり、 後から救済されるとは限りません

添付は適用の要件とされているため、後から救済されるとは限りません。申告期限までにそろえることを前提に、決算作業の段階から準備してください。具体的な対応は所轄の税務署や顧問税理士へ確認が必要です。

損金経理と特別償却準備金はどちらを選ぶべきですか?

税額への効果は同じで、 決算書をどう見せたいかで選びます

税額への効果は同じです。決算書の利益を維持したい場合、たとえば近く融資を受ける予定がある場合は準備金方式が向きます。処理が簡単なのは損金経理方式です。準備金方式は株主総会の決議を伴うため、決算作業の前に決めておく必要があります。

即時償却を選んだあとで税額控除に変更できますか?

選択適用のため、 申告書を提出したあとの変更はできません

できません。選択適用であるため、確定申告書を提出したあとで変更することはできません。決算の着地が見えた段階で、翌期以降の利益見込みまで含めて判断してください。

設備は届いているが稼働は決算後になります。当期に適用できますか?

事業の用に供した事業年度で判定するため、 決算日までに稼働していなければ当期は適用できません

できません。即時償却できるのは事業の用に供した事業年度です。納品済みでも据付や試運転が終わっていない状態は事業供用として認められない可能性があります。検収日と稼働開始日が分かる資料を残してください。

申告後はどの資料を保管しておくべきですか?

認定書・証憑・写真をまとめて残し、 申告が終わっても処分しないでください

認定書と計画の写し、証明書または確認書の写し、契約書、請求書、検収書、設置状況の写真、取得価額の内訳が分かる資料です。税務調査では事実関係を示せるかが問われるため、申告が終わっても処分しないでください。

判断に迷ったら、実行前にご相談ください

契約や支出の前に論点を確認しておけば、選べる打ち手が広がります。

無料相談を申し込む

契約や支出の前に論点を確認しておけば、選べる打ち手が広がります。

出典: 国税庁|No.5434 中小企業経営強化税制国税庁|税について調べるe-Gov法令検索


決算前でも間に合う即時償却ガイドの無料診断

目次