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即時償却 シミュレーション|設備2,000万円で法人税額を試算【2026年】

即時償却シミュレーションの前提・計算・比較・判断の流れをまとめた図

「即時償却で節税になるとは聞くが、自社だと実際いくら減るのか」。カタログや提案書には制度の説明はあっても、自社の課税所得に当てはめた金額までは書かれていません。金額が見えないまま数千万円の設備を決めるのは、判断としてかなり危うい状態です。

課税所得3,000万円の中小法人が2,000万円の機械装置を取得した場合、通常の減価償却なら初年度の法人税額は約537万円、即時償却を選ぶと約166万円となり、差は約371万円です。ただしこれは税額が消えたのではなく、翌期以降の減価償却費を先に使っただけである点が判断の分かれ目になります。

この記事でわかること

  • 即時償却 シミュレーションの前提を決める
  • 即時償却の効果を求める3ステップ
  • 設備投資額別の即時償却 シミュレーション早見表
  • 即時償却と税額控除を同じ条件で比較する
  • 防衛特別法人税を加味した2026年度の試算

自社に合う節税策を確認しませんか

決算期と利益の見込みが分かれば、使える制度と実行時期を順序立てて整理できます。

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目次

即時償却 シミュレーションの前提を決める

即時償却 シミュレーションの前提を決めるの要点を整理した図

試算の数字は前提で大きく動きます。まず次の5点を確定させてください。ここが決まらないまま計算しても、提案書の数字を眺めているのと変わりません。

1課税所得
2設備の取得価額
3耐用年数
4資本金
5決算期
前提項目 この記事で置く条件 変わると何が動くか
法人区分 資本金1,000万円の中小法人(青色申告) 税率と税額控除率が変わる
設備投資前の課税所得 3,000万円 適用される税率帯が変わる
取得設備 機械装置 2,000万円 損金にできる額が変わる
耐用年数・償却方法 10年・定率法(償却率0.200) 通常償却との差が変わる
事業供用 期首に取得し、ただちに事業供用 月数按分の有無が変わる

法人税率は課税所得800万円を境に2段階になる

中小法人の法人税率は、年800万円以下の部分が15%、800万円を超える部分が23.2%で、 この軽減税率は2027年3月31日までに開始する事業年度までの措置です なお、所得の金額が年10億円を超える事業年度については、800万円以下の部分の税率が17%となります。

試算では課税所得3,000万円を前提にするため、即時償却によって減る所得のほとんどは23.2%の税率帯に当たります。ここが「限界税率」で、節税額の計算はこの率を使うと見通しが良くなります。

通常の減価償却でも初年度に一定額は損金になる

即時償却を使わなくても初年度に400万円は損金になるため、 比較すべきは取得価額そのものではなく通常償却との差額です 2,000万円を耐用年数10年・定率法で償却すると、初年度の償却費は2,000万円×0.200=400万円です。

提案契約条件を確認すると「2,000万円が全額損金」という表現が使われますが、通常償却でも400万円は損金になります。純粋な上乗せ分は1,600万円で、この差額に限界税率を掛けたものが初年度の効果です。

事業供用日が期をまたぐと効果は翌期にずれる

即時償却できるのは取得しただけでなく事業の用に供した事業年度であり、 決算日までに設置・稼働していなければ当期の損金にはできません 納品済みでも据付や試運転が終わっていない状態は、事業供用として認められない可能性があります。

期末ぎりぎりの設備投資でこの点を落とすと、試算した節税額がまるごと翌期送りになります。工事日程と検収日は契約前に確認してください。

期末ぎりぎりの設備投資でこの点を落とすと、試算した節税額がまるごと翌期送りになります。工事日程と検収日は契約前に確認してください。

出典: 国税庁|No.5759 法人税の税率

即時償却の効果を求める3ステップ

即時償却の効果を求める3ステップの要点を整理した図

計算そのものは複雑ではありません。差額を出し、税率を掛け、資金繰りへの影響を確認する、という順序です。

ステップ1|通常償却との差額を出す

取得価額から初年度の通常償却費を引いた額が、即時償却で上乗せできる損金ですこの差額を取得価額そのものと取り違えると効果を過大に見積もります 。 今回の例では 2,000万円 −(2,000万円×0.200)= 1,600万円 が上乗せ分です。

定率法か定額法か、耐用年数が何年かで通常償却費は変わります。耐用年数が長い設備ほど通常償却費が小さく、即時償却の上乗せ分は大きくなります。

ステップ2|差額に限界税率を掛ける

上乗せ分1,600万円はすべて23.2%の税率帯に収まるため、初年度の法人税の差は 1,600万円×23.2%=371.2万円 です所得が800万円を下回るところまで圧縮する場合は15%の帯が混ざるため単純な掛け算にはなりません 。

実際には法人住民税と法人事業税も所得に連動して動くため、地方税を含めた実質的な負担差はこれより大きくなります。地方税率は自治体と規模で異なるため、正確な金額は申告実務で確認してください。

ステップ3|手元資金の増減を確認する

税額が371万円減っても、設備の購入で2,000万円の現金が出ていくため、 手元資金は差引で約1,629万円減ります 節税額より支出額のほうが大きいのは、設備投資を使ったすべての節税策に共通します。

借入で購入する場合は、返済額と損金算入額のタイミングがずれる点にも注意が必要です。元本返済は損金になりません。

項目 通常償却 即時償却
初年度の償却費 400万円 2,000万円 +1,600万円
課税所得 2,600万円 1,000万円 △1,600万円
法人税額 約537.6万円 約166.4万円 △約371.2万円
設備の支出 2,000万円 2,000万円 同じ
節税額と手残りは別物です

初年度の法人税は約371万円減りますが、設備代金2,000万円は実際に支払います。事業として必要のない設備を税負担だけを理由に購入すると、税金より多くの現金を失います。

設備投資額別の即時償却 シミュレーション早見表

設備投資額別の即時償却 シミュレーション早見表の要点を整理した図

課税所得3,000万円・耐用年数10年・定率法という同じ条件で、設備投資額だけを動かした場合の初年度法人税額です。金額は概算であり、地方税と防衛特別法人税は含んでいません。

設備投資額 通常償却時の法人税 即時償却時の法人税 初年度の差
500万円 約607.2万円 約514.4万円 △約92.8万円
1,000万円 約584.0万円 約398.4万円 △約185.6万円
2,000万円 約537.6万円 約166.4万円 △約371.2万円
3,000万円 約491.2万円 0円 △約491.2万円

課税所得を超える設備投資は効果が頭打ちになる

設備投資額が課税所得に近づくと課税所得は0円に達し、 それを超えて償却しても当期の税額はそれ以上下がりません 上の表で3,000万円の欄が0円になっているのはこのためです。

課税所得を超えて償却した部分は欠損金となり、青色申告法人であれば翌期以降へ繰り越して控除できます。ただし繰越控除は将来の黒字が前提であり、当期の資金繰りは改善しません。

課税所得が小さい会社ほど1円あたりの効果は薄い

課税所得が800万円以下の範囲では税率が15%になるため、 同じ金額を償却しても節税額は約3分の2にとどまります 利益が出ていない会社が即時償却を使っても、支出だけが先行します。

赤字法人や利益が小さい会社では、即時償却より税額控除、あるいは設備投資自体の見送りが合理的になる場合があります。

複数の設備をまとめる前に金額区分を確認する

1件40万円未満の資産であれば少額減価償却資産の特例で処理でき、 経営力向上計画の認定という重い手続きを踏まずに済みます 年間合計300万円までという上限はありますが、手続きの負担は大きく違います。

40万円以上の設備で大きな損金を作りたい場合に、はじめて経営強化税制の即時償却が検討対象になります。金額区分で先に絞り込んでください。

即時償却と税額控除を同じ条件で比較する

即時償却と税額控除を同じ条件で比較するの要点を整理した図

中小企業経営強化税制では、即時償却と税額控除のどちらか一方を選びます。同じ2,000万円の設備で比べます。資本金3,000万円以下の法人であれば控除率は10%です。

比較項目 即時償却 税額控除(10%)
初年度の償却費 2,000万円 400万円(通常償却)
初年度の法人税 約166.4万円 約430.1万円
控除額 なし 約107.5万円(上限あり)
初年度の差(通常償却比) △約371.2万円 △約107.5万円
10年間の合計での差 実質ゼロ(前倒しのみ) 約200万円の税額減

税額控除には法人税額の20%という上限がある

控除できる額は取得価額の10%=200万円ですが、 その事業年度の法人税額の20%が上限になります 今回の例では 537.6万円×20%=約107.5万円までしか使えず、超えた約92.5万円は翌期へ1年間繰り越します。

利益が小さい年に大きな設備を買うと、控除枠を使い切れないまま期限を迎える可能性があります。控除の上限は「設備の金額」ではなく「その年の税額」で決まる点が重要です。

即時償却は課税の繰り延べ、税額控除は税額そのものの減少

即時償却で減った税金は翌期以降の償却費が減ることで戻ってくるため、 利益が続く会社では10年間の合計税額は通常償却と変わりません 一方、税額控除は減価償却を通常どおり行いながら税額を直接減らすため、合計では控除額の分だけ有利になります。

それでも即時償却が選ばれるのは、当期の納税額を圧縮して手元資金を確保できるからです。どちらが正しいかではなく、資金の必要な時期がいつかで決まります。

選ぶ基準は当期と翌期以降の利益見込み

当期だけ利益が跳ねている会社は即時償却、利益が安定的に続く会社は税額控除が向きますいったん選択して申告すると後から変更できません 。 決算の直前ではなく、着地見込みが固まる段階で方針を決めてください。

翌期に大型の受注や売却益が見込まれる場合、当期に所得を圧縮すると翌期の税負担が重くなることがあります。単年度ではなく複数年で比較してください。

翌期に大型の受注や売却益が見込まれる場合、当期に所得を圧縮すると翌期の税負担が重くなることがあります。単年度ではなく複数年で比較してください。

出典: 中小企業庁|中小企業経営強化税制

防衛特別法人税を加味した2026年度の試算

防衛特別法人税を加味した2026年度の試算の要点を整理した図

2026年4月1日以後に開始する事業年度からは、防衛特別法人税が加わります。基準法人税額から年500万円の基礎控除額を差し引いた残額に4%が課されます。

法人税額が下がると防衛特別法人税も連動して下がる

課税標準が基準法人税額であるため、 即時償却で法人税額が下がれば防衛特別法人税の負担も自動的に小さくなります 今回の例では、通常償却時の法人税537.6万円に対して(537.6万円−500万円)×4%=約1.5万円、即時償却時は法人税166.4万円で500万円以下のため0円です。

金額としては大きくありませんが、法人税額が年500万円を超える規模の会社では、税額控除で法人税額を下げた場合も同様に連動します。

税額が0円でも申告書の提出は必要になる

計算の結果として税額が生じない場合でも、 対象となる法人は確定申告書を提出する義務があります 納付の有無と申告義務の有無は別に判断されます。

決算・申告の作業が1つ増えるため、顧問税理士との打ち合わせで様式と提出時期を確認しておくとスムーズです。

自社の場合はどうなるか確認しませんか

制度要件・資金繰り・実行期限を自社の数字に当てはめて整理できます。

自社のケースを相談する

シミュレーション前に確認する適用要件

シミュレーション前に確認する適用要件の要点を整理した図

試算した金額は、制度が適用できて初めて意味を持ちます。対象設備には種類ごとの金額基準があります。

設備の種類 取得価額の下限 備考
機械装置 160万円以上 販売開始時期などの要件あり
測定工具・検査工具 30万円以上 令和8年度改正で40万円以上へ
器具備品 30万円以上 令和8年度改正で40万円以上へ
建物附属設備 60万円以上
ソフトウェア 70万円以上

経営力向上計画の認定を先に受ける必要がある

対象設備を取得しただけでは適用できず、 工業会等の証明書または経済産業大臣の確認書を設備の取得前に申請する必要があります そのうえで経営力向上計画の認定を受け、認定後に設備を取得するのが原則の順序です。

A類型は設備メーカー経由で工業会等の証明書を取得し、B・D・E類型は税理士または公認会計士の事前確認を経て経済産業局へ申請します。手続きに要する期間は類型によって異なります。

現在の類型はA・B・D・Eの4つになっている

デジタル化設備のC類型は2025年4月1日をもって廃止されており、 古い解説にあるA類型・B類型だけという説明は現在の制度と一致しません 経営資源集約化設備のD類型、経営規模拡大設備のE類型が加わっています。

自社の投資がどの類型に当たるかで、必要書類と関与する専門家が変わります。設備の選定と同時に類型の当たりをつけておくと手戻りが減ります。

適用期限は2027年3月31日までとされている

制度の適用期限は2026年度末までとされており、 期限後の適用が確定していない段階で来期以降の計画を前提にするのは避けてください 過去に延長が繰り返されてきた制度ではありますが、延長は確定事項ではありません。

納期の長い設備は、証明書の取得と計画認定の期間を含めて逆算する必要があります。決算の3〜6か月前から動くのが現実的な線です。

即時償却が効かないケースと注意点

即時償却が効かないケースと注意点の要点を整理した図

試算どおりの効果が出ない典型的なパターンがあります。契約前に自社が当てはまらないか確認してください。

赤字または利益が小さい年は効果が出ない

そもそも課税所得がなければ差し引く対象がないため、 赤字の事業年度に即時償却を使っても当期の税額は変わりません 欠損金として繰り越すことはできますが、将来の黒字が前提です。

利益の着地見込みが固まらないうちに設備を発注すると、想定と逆の結果になることがあります。着地予測を先に行ってください。

売却・除却時に利益が出て課税される

即時償却をした設備は帳簿価額がほぼゼロになるため、 途中で売却すると売却額のほぼ全額が利益として課税されます 「出口」で税負担が戻ってくる構造です。

短期間で入れ替える前提の設備や、中古市場で値がつきやすい設備ほど、この影響は大きくなります。保有期間と売却見込みまで含めて試算してください。

事業目的が説明できないと否認リスクがある

節税だけを目的として実態のない設備を計上した場合、 税務調査で損金算入が否認され追徴課税となる可能性があります 設備が事業でどう使われているかを、稼働記録や写真で示せる状態にしておく必要があります。

制度の要件を満たしていることと、事業上の必要性を説明できることは別の問題です。両方そろって初めて安全な処理になります。

試算後に進める手続きと発注時期

試算後に進める手続きと発注時期の要点を整理した図

試算で方針が決まったら、次の順序で進めます。設備の発注は認定の後です。

1利益の着地予測
2類型の判定
3証明書・確認書
4計画の認定
5取得・事業供用

発注前に証明書と計画認定を終わらせる

証明書や確認書は設備の取得前に申請する必要があるため、 先に発注してしまうと制度が使えなくなる可能性があります 見積書の段階で類型を判定し、必要な書類の取得を始めてください。

設備メーカーが工業会証明書の取得実績を持っているかどうかで、A類型の進めやすさは大きく変わります。商談の初期に確認しておくとスムーズです。

申告時には明細書の添付が必要になる

適用を受けるには法人税の確定申告書に所定の明細書を添付する必要があり、 添付が漏れると制度そのものが使えません 経理処理として損金計上していれば足りる制度ではありません。

計画の認定書、証明書の写し、設備の取得を示す証憑をひとまとめにして保管しておくと、申告時と税務調査の両方で使えます。

決算月から逆算する

証明書の取得と計画認定には一定の期間がかかります。決算の直前に検討を始めると、書類がそろわないまま決算日を迎えます。決算対策としての設備投資は、決算の3〜6か月前から動くのが現実的です。

即時償却 シミュレーションに関するよくある質問

即時償却 シミュレーションに関するよくある質問の要点を整理した図

実務へ落とし込むときに、相談として多く寄せられる論点をまとめます。

即時償却で税金はいくら安くなりますか?

通常償却との差額に限界税率を掛けた金額が効果であり、 取得価額そのものに税率を掛けた金額ではありません

課税所得3,000万円の中小法人が2,000万円の機械装置を取得した場合、初年度の法人税額の差は約371万円です。ただし通常の減価償却でも初年度に400万円は損金になるため、純粋な上乗せ分は1,600万円分の損金であり、取得価額の全額に税率を掛けた金額ではありません。

即時償却と税額控除はどちらが得ですか?

合計税額では税額控除が有利ですが、 当期の資金繰りを優先するなら即時償却が向きます

10年間の合計で見ると、減価償却を通常どおり行いながら税額を直接減らせる税額控除のほうが有利です。一方、当期の納税額を抑えて手元資金を確保したい場合は即時償却が向きます。当期だけ利益が跳ねているか、利益が安定して続くかで判断が変わります。

赤字の会社でも即時償却は使えますか?

適用はできますが、 課税所得がなければ当期の税額は変わりません

制度の要件を満たせば適用自体は可能ですが、課税所得がなければ当期の税額は変わりません。償却によって生じた欠損金は青色申告法人であれば翌期以降へ繰り越せますが、将来の黒字が前提となります。

即時償却した設備を売却するとどうなりますか?

帳簿価額がほぼゼロのため、 売却額のほぼ全額が課税対象の利益になります

帳簿価額がほぼゼロになっているため、売却額のほぼ全額が利益として課税されます。即時償却は課税を将来へ繰り延べる仕組みであり、売却はその繰り延べた分が表に出るタイミングです。保有期間と売却見込みまで含めて判断してください。

設備を買ってから経営力向上計画を申請できますか?

証明書・確認書は設備の取得前に申請する必要があり、 先に発注すると制度を使えなくなる可能性があります

原則として認められません。工業会等の証明書または経済産業大臣の確認書は設備の取得前に申請する必要があり、計画の認定を受けてから設備を取得するのが基本の順序です。発注前に手続きを始めてください。

この試算をそのまま自社に当てはめてよいですか?

前提条件が1つ変わるだけで金額は動くため、 実際の適用可否と税額は個別に確認してください

前提が異なれば結果も変わります。課税所得、資本金、耐用年数、償却方法、決算期、地方税率のいずれかが違えば金額は動きます。実際の適用可否と税額は、顧問税理士や所轄の税務署への確認をおすすめします。

判断に迷ったら、実行前にご相談ください

契約や支出の前に論点を確認しておけば、選べる打ち手が広がります。

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出典: 国税庁|No.5759 法人税の税率中小企業庁|中小企業経営強化税制国税庁|税について調べる


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