子会社清算で株式損失は損金になる?100%子会社の欠損金引継ぎ

子会社を清算しても、親会社が子会社株式の簿価をそのまま株式損失として損金算入できるとは限りません。完全支配関係がある内国法人では、残余財産の確定時に株式損失を認識せず、一定の未処理欠損金を親会社が引き継ぐ仕組みが関係します。
法人株主が、内国子会社の解散から残余財産確定までを税務処理する場面を扱います。制度の適用は取引条件で変わるため、契約前と申告前に税理士等へ確認してください。
- 資本関係図と完全支配期間
- 子会社株式の税務簿価
- 残余財産・債権債務・欠損金明細
- 解散から残余財産確定までの日程
子会社清算は解散日と残余財産確定日を分けて考える

解散決議だけでは清算は終わらず、債務弁済後の残余財産確定が税務の重要な境界になります。
解散決議後も清算法人として申告を続ける
解散後は資産の換価、債務の弁済、税額の確定を行い、清算事業年度ごとの申告を管理します。 解散日と残余財産確定日を同じ日として処理しません。
残余財産確定日が親会社側の株式処理を動かす
債務を弁済し、親会社へ分配できる残余財産が定まった日に、株式の消滅と欠損金引継ぎを判定します。 残余財産確定日を清算計算書と社内承認日で固定します。
完全支配関係のある子会社の残余財産が確定した場合の青色欠損金額の引継ぎが解説されています。
解散法人の各事業年度所得、残余財産の分配、欠損金の引継ぎはそれぞれの要件で判定されます。
出典:e-Gov 法人税法
100%子会社の株式損失は残余財産確定時に認識しない

完全子会社の清算では、株式損失と欠損金引継ぎの二重利用を防ぐ特別な取扱いがあります。
親会社は子会社株式の消滅損失を税務上認識しない
残余財産が確定し、完全支配関係のある子会社株式が消滅しても、親会社は譲渡損失を認識しない取扱いを確認します。 会計上の子会社株式除却損を、そのまま税務上の損金にしません。
会計仕訳と法人税申告の加算調整を照合する
会計で株式消滅損を費用計上した場合は、税務上の不認識額を申告書で加算し、消滅する株式簿価と照合します。 会計除却額と税務簿価の差を照合し、税務上損金不算入となる額を申告書で加算調整します。
子会社の未処理欠損金は親会社へ引き継がれる場合がある

引継ぎ対象は帳簿上の累積赤字ではなく、法人税申告書で管理された未処理欠損金です。
別表七から発生年度と使用残高を復元する
子会社の過去の申告書、更正、欠損金の繰戻し還付、以前の控除実績を確認し、未処理残高を年度別に復元します。 会計上の繰越利益剰余金と税務上の繰越欠損金を混同しません。
支配関係の継続期間と制限対象額を判定する
引継ぎが問題となる欠損金の発生時期と、親会社との完全支配関係が生じた日を重ね、法定の制限を確認します。 繰越欠損金の総額を無条件で親会社へ移さず、発生年度と支配期間から制限を判定します。
完全支配関係下の清算における欠損金引継ぎと株式損益不認識の仕組みが示されています。
清算に入った完全子会社株式等には、通常の評価損と異なる損金制限があります。
完全支配関係がない株式消滅では通常の損益を確認する

100%子会社の特則を、80%子会社や少数持分の投資先に広げてはいけません。
親会社の受取分配額と株式の税務簿価を比較する
完全支配関係の特則の対象外なら、残余財産の分配と株式消滅に伴う通常の株式損益を判定します。 完全支配関係の有無を確認せず、株式簿価の全額を損金としません。
みなし配当が生じるかを分配資産から計算する
残余財産の分配額が発行法人の資本金等の額の対応額を上回ると、みなし配当の論点が生じます。 株式損失だけでなく、みなし配当と受取配当の取扱いも同時に計算します。
未払税金と清算費用を反映して残余財産を確定する

資産をすべて売った金額がそのまま親会社へ分配できるわけではありません。
資産売却益と債務免除益を清算事業年度の所得へ入れる
土地・設備の処分、債権回収、債務免除による損益を計上し、清算法人の最終的な所得と税金を計算します。 引き継ぐ欠損金は、清算中の課税所得で使用した後の残高です。
清算事務所費、退職金、専門家報酬、申告納付を盛り込む
清算人、税理士、弁護士、登記の費用と、最終申告の法人税等を引いた後の額を残余財産とします。 分配予定表は、最終申告と未払費用の確定後に更新します。
子会社の整理に伴う債権放棄等は、支援の経済合理性と金額の妥当性から判定します。
解散法人の申告は各期限を確認し、欠損金明細と最終事業年度の計算を整合させます。
出典:国税庁 法人税申告手続
親子間の債権債務は清算前に処理方針を決める

貸付金を放棄するのか、代物弁済を受けるのかで、親子双方の所得計算が変わります。
親会社貸付金の回収可能額と債権放棄時期を固定する
子会社の清算が確実で回収不能額が明らかなのか、再建支援として早期に放棄するのかを契約と資金繰りで比較します。 子会社株式の損失と親会社貸付金の貸倒損失は別勘定で判定します。
債権放棄の寄附金リスクと子会社側の債務免除益を合わせて試算する
放棄に経済合理性があるか、税務上の貸倒要件を満たすか、子会社の債務免除益へ欠損金を充てられるかを両面から見ます。 親会社の損金だけでなく、子会社の益金と最終税額まで同時に計算します。
最終申告は残余財産確定日の翌日から1か月以内を管理する

通常の法人税申告より短い期限となるため、清算人が価額を固める前から申告準備を進めます。
残余財産確定と同時に申告書作成を開始する
最終事業年度の資産売却、未払費用、法人税等、欠損金使用額を先行集計し、確定日に差額だけ更新します。 申告期限は、原則として残余財産確定日の翌日から1か月以内です。
その1か月の期間内に残余財産の最後の分配または引渡しを行うときは、その前日が申告期限となる点も日程へ入れます。
申告期限延長を前提にせず社内日程を組む
残余財産の確定後は、親会社への分配、最終申告、納付、清算結了登記が連続します。清算日程表に法務、経理、税務、銀行口座、分配の各担当を記入します。 通常申告の2か月基準で最終申告を管理しません。
株式損失と欠損金引継ぎを同じシミュレーションで比較する

清算の税効果は、親会社の株式簿価だけを見ると過大に見積もりやすくなります。
持株比率別に親会社の損益と引継ぎ額を分ける
例えば、税務簿価3億円、残余財産0円、未処理欠損金2億円とします。100%子会社なら株式損失3億円は原則認識せず、要件を満たす2億円の引継ぎを判定します。80%保有なら同じ特則を使わず、通常の株式損益と分配額を計算します。
100%、80%、少数持分の三ケースで、株式消滅損益、みなし配当、引継ぎ欠損金、債権処理を比較します。 株式簿価3億円をそのまま節税額の基礎とせず、支配関係別に再計算します。
清算しない案との税引後キャッシュフローを比較する
事業譲渡後の清算、合併、休眠、単純清算について、処分費用、所要期間、欠損金、将来の管理負担を並べます。 株式損失の有無だけで方式を選ばず、清算費用と引継ぎ後の利用可能額まで比較します。
グループ内の清算における株式損益、欠損金、資本関係の考え方が体系的に解説されています。
株主総会の解散決議、清算人の職務、債権者保護、残余財産の分配は会社法上の手続に従います。
出典:e-Gov 会社法
子会社清算の株式損失と税務でよくある質問

100%子会社を清算すれば株式簿価は全額損金ですか?
原則として完全支配関係下の株式消滅損失は認識せず、欠損金引継ぎの要件を判定します。
80%子会社でも同じ取扱いですか?
同じとは限りません。完全支配関係の特則の対象外なら、通常の株式損益とみなし配当を検討します。
子会社の帳簿上の赤字はすべて引き継げますか?
引継ぎ対象は法人税申告書で管理された未処理欠損金であり、発生年度や支配期間による制限も確認します。
清算法人の最終申告期限はいつですか?
原則として残余財産確定日の翌日から1か月以内です。清算日程に申告・納付を組み込みます。

