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会社売却前の配当は得か?個人株主の税金と売却手取りを比較

会社売却前の配当は得か?個人株主の税金と売却手取りを比較

会社売却前に余剰現金を配当すれば、会社の現金は減り、個人株主へ資金を移せます。しかし、非上場株式の配当は原則として総合課税です。株式譲渡益の申告分離課税とは計算方法が違うため、配当額だけで有利不利を決めると手取りを読み違えます。

本記事は、個人オーナーが非上場会社の株式を第三者へ売る前に配当する場面を中心に扱います。 制度の適用は取引条件で変わるため、契約前と申告前に税理士等へ確認してください。

配当を決める前にそろえる資料

  • 直近の貸借対照表と余剰現金
  • 株主構成・取得費・配当履歴
  • 配当前後の株価算定書
  • 配当案と株式譲渡案の手取り比較
目次

売却前配当は配当課税と株価低下を同時に見る

売却前配当は配当課税と株価低下を同時に見る

会社から現金が出れば株式価値も通常は変わります。

配当だけを切り離して判断しない

会社から現金が出れば株式価値も通常は変わります。 配当後も売却価格が同額と決めつけないでください。

余剰現金1億円を配当すると、株主の受取額と源泉税だけでなく、企業価値から現金を控除する価格調整も起こり得ます。 意向表明書と株価算定書で、現金を含む価格か無借金無現金基準かを確認します。

三つの金額を一枚で比較する

配当案と無配当案は、税引後の合計受取額で比べます。 表面税率だけで結論を出さないでください。

配当手取り、株式譲渡手取り、会社に残す必要運転資金を同じ基準日に置きます。 所得税、住民税、復興特別所得税、専門家費用まで含む比較表を作ります。

非上場株式の配当と大口株主が受ける上場株式の配当は、20.42%の所得税等が源泉徴収され、原則として総合課税の対象です。

出典:国税庁 No.1330 配当金を受け取ったとき

非上場株式等の配当は、少額配当の申告不要を除き総合課税として申告し、源泉税は最終税額の前払いとして精算します。

出典:国税庁 非上場株式等の配当等

非上場株式の配当は原則として総合課税

非上場株式の配当は原則として総合課税

会社は配当時に所得税等を源泉徴収します。

20.42%は最終税率ではない

会社は配当時に所得税等を源泉徴収します。 源泉徴収だけで課税が完了するとは限りません。

非上場株式の配当は原則として総合課税となり、給与などと合算した課税所得で最終税額を計算します。 前年所得と売却年の他の所得を税理士へ共有します。

配当控除と住民税も試算する

国内法人の一定の配当では配当控除を検討します。 最高税率だけ、または源泉率だけを一律に当てないでください。

配当控除の可否と控除額は所得区分や法人の性質で変わり、住民税も別に計算します。 確定申告後の追加納税・還付まで資金繰りへ反映します。

株式譲渡益は取得費を引いて申告分離課税

株式譲渡益は取得費を引いて申告分離課税

課税対象は譲渡価額から取得費等を引いた利益です。

譲渡所得は売却代金全額へ課税されない

課税対象は譲渡価額から取得費等を引いた利益です。 取得費資料を後回しにすると比較結果が変わります。

設立時の払込、増資、相続・贈与による取得をたどり、取得費と譲渡費用を確定します。 株主名簿、払込証明、過去申告書を集めます。

配当案との税率差を利益ベースで比べる

配当と株式譲渡では課税ベースが異なります。 名目額だけを横並びにしないでください。

配当は受取額が配当所得の基礎となる一方、株式譲渡は取得費控除後の利益で計算します。 同じ1億円の受取りでも税引後額を別計算します。

一般株式等の譲渡所得等は、他の所得と分けた申告分離課税で計算します。

出典:国税庁 No.1463 株式等を譲渡したときの課税

株式譲渡益は譲渡価額から取得費と譲渡費用を控除して計算し、取得費資料が税額を左右します。

出典:国税庁 No.1464 譲渡した株式等の取得費

配当後の株価と買収契約の価格調整を確認する

配当後の株価と買収契約の価格調整を確認する

買収価格が企業価値方式か株式価値方式かを確認します。

余剰現金の扱いを買主と一致させる

買収価格が企業価値方式か株式価値方式かを確認します。 買主合意前の配当は交渉条件違反になり得ます。

ネットデット調整では、配当前後の現預金・借入金・運転資本が価格へ反映されます。 LOI、価格算定式、基準貸借対照表を照合します。

リーケージ条項を読む

契約締結から実行までの価値流出を制限する契約があります。 通常取引という理由だけで配当を実行しないでください。

配当、役員賞与、関係者への支払が禁止リーケージに入るかを確認します。 許容配当なら金額、日付、税負担を契約へ明記します。

分配可能額と決議・源泉納付をそろえる

分配可能額と決議・源泉納付をそろえる

配当には分配可能額の上限があります。

税務上払えることと会社法上払えることを分ける

配当には分配可能額の上限があります。 現金があることだけでは配当できません。

直近決算後の損失、自己株式取得、臨時計算書類などを反映して法務担当が上限を計算します。 決議機関と効力発生日を定款で確認します。

源泉税の納付資金を残す

会社は配当総額と株主への差引支払額を区別します。 源泉税分まで株主へ送金しないでください。

効力発生日、実支払日、源泉税納期限、支払調書を一覧化します。 株主受取額だけでなく会社の総流出額を資金繰りに置きます。

剰余金配当には分配可能額の制限があり、株主総会等の適法な決議と効力発生日の管理が必要です。

出典:e-Gov 会社法

配当を支払う法人には、源泉徴収、納付、支払調書などの実務があります。

出典:国税庁 令和8年版源泉徴収のあらまし

1億円配当と無配当売却を数字で比較する

1億円配当と無配当売却を数字で比較する

源泉後の入金額は最終手取りではありません。

配当案の追加納税を見積もる

源泉後の入金額は最終手取りではありません。 一律20.42%を最終負担として使わないでください。

配当1億円なら会社は源泉徴収し、株主は他所得と合算した確定税額との差を申告で精算します。 限界税率別に複数ケースを作ります。 たとえば配当総額1億円なら源泉徴収額は2,042万円、株主への当初入金は7,958万円です。最終税額は総合課税の確定申告で精算するため、この7,958万円を最終手取りとはしません。

無配当案は株価増加を保証しない

現金を残しても売却価格への反映は契約次第です。 会社の現金1億円が売価1億円増になるとは限りません。

運転資金、デットライク項目、過剰現金の定義により、株式価値への加算額は変わります。 買主モデルで配当あり・なしを再計算します。 一方、無配当で株価が1億円高くなり、その全額が追加の譲渡益になる仮定では、所得税等と住民税の合計約20.315%を差し引いた概算増加手取りは約7,968万5,000円です。実際は価格調整と取得費で変わります。

実行前に税務・法務・M&A資料を一つにする

実行前に税務・法務・M&A資料を一つにする

株価、分配可能額、税額の基準日がずれると比較できません。

基準日を統一する

株価、分配可能額、税額の基準日がずれると比較できません。 古い試算表で配当額を決めないでください。

月次決算日を基準に現預金、借入、未払税金、配当可能額を更新します。 版番号付きの一枚表を取締役会資料へ添付します。

決議から申告まで担当を割り当てる

配当は複数部署にまたがる手続です。 担当者間の口頭共有だけで進めないでください。

法務は決議、経理は支払・源泉、税理士は申告、FAは価格調整を担当します。 期限と成果物をクロージングチェックリストへ入れます。

売却後手取りから逆算して配当額を決める

売却後手取りから逆算して配当額を決める

受取時期と使途で望ましい形は変わります。

必要生活資金と再投資資金を分ける

受取時期と使途で望ましい形は変わります。 税率だけで最大配当を選ばないでください。

売却後に個人で必要な現金、納税資金、再投資資金を区分します。 配当額をゼロ・一部・全額の三案で比べます。

契約締結前に専門家確認を終える

配当は実行後に戻しにくい取引です。 節税目的だけを議事録へ書かないでください。

株価算定、価格調整、会社法、源泉税、確定申告を一つの前提表でレビューします。 買主承諾が必要なら書面で取得します。

総合課税の所得税率は課税所得に応じた超過累進税率であり、配当額だけで最終税率は決まりません。

出典:国税庁 所得税の税率

国内法人から受ける一定の配当は、総合課税で申告した場合に配当控除の対象となることがあります。

出典:国税庁 配当控除

会社売却前配当と個人株主の税金でよくある質問

会社売却前配当と個人株主の税金でよくある質問

配当を出せば株価は同額下がりますか?

必ず同額とは限りません。価格算定式、必要運転資金、ネットデット調整、買主との合意で変わります。

20.42%の源泉で課税は終わりますか?

原則として終わりません。非上場株式の配当は総合課税で最終税額を精算します。

配当後に買主承諾は必要ですか?

LOIや最終契約のリーケージ条項次第です。実行前に書面で確認します。

取得費が不明でも比較できますか?

概算はできますが譲渡手取りがぶれます。払込・増資・相続資料を先に復元します。

M&A前の税額と手取りを一つの表に整理します

取引の型、課税時期、取得費、入金と納税時期を確認し、実行前に比較します。 個別の税務判断と申告は税理士が確認します。

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