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法人の不動産売却でいくら残る?税引後手取りの計算方法

法人の不動産売却でいくら残る?税引後手取りの計算方法

法人の決済口座に入った金額は、そのまま使える手取りではありません。借入返済、法人税等、消費税、売却費用、運転資金を順に差し引いて残額を求めます。

例として、売却代金1億円、直接費用300万円、借入返済2,000万円、税務簿価4,000万円なら、決済直後の現金は7,700万円、売却益は5,700万円です。実効税率を仮に30%と置くと税額見込みは1,710万円、税引後の現金は約5,990万円ですが、他の所得や地方税で変わります。売却益は売却対価から税務簿価と直接費用を差し引いて求めます。

先に結論

法人の最終手取りは『売却代金-直接費用-借入完済額-法人税等-消費税-必要運転資金』で見積もります。税額は売却益だけでなく会社全体の所得で変わります。

決済時入金と申告後に使える現金を分け、取締役会で判断できる資金表にします。 制度の適用は取引条件で変わるため、契約前と申告前に税理士等へ確認してください。

法人売却で確認する資料

  • 土地・建物の固定資産台帳
  • 売却年度の月次試算表
  • 繰越欠損金と税務申告書
  • 借入・消費税・運転資金の一覧
この記事で分かること

  • 売却代金と売却益は同じ金額ではない
  • 借入完済額は税務上の損金と分ける
  • 土地と建物で消費税の扱いが違う
  • 法人税等は会社全体の所得から見積もる
目次

売却代金と売却益は同じ金額ではない

売却代金と売却益は同じ金額ではない

例として、売却代金1億円、直接費用300万円、借入返済2,000万円、税務簿価4,000万円なら、決済直後の現金は7,700万円、売却益は5,700万円です。実効税率を仮に30%と置くと税額見込みは1,710万円、税引後の現金は約5,990万円ですが、他の所得や地方税で変わります。売却益は売却対価から税務簿価と直接費用を差し引いて求めます。

売却対価・税務簿価・直接費用を分けて売却益を求める

法人の売却代金は入金額であり、そのまま課税対象の売却益にはなりません。 入金額と課税対象の利益を分ける

売却対価から土地・建物別の税務簿価と売却に直接対応する費用を差し引き、売却益を計算します。固定資産台帳と契約書を突き合わせ、概算額と確定額を別欄で管理します。

口座への入金額に税率を直接掛けない

借入返済や簿価を無視して入金額から税額を出すと、手取りの見込みを大きく誤ります。 税額計算の起点は売却益

入金額へ税率を掛ける方法では、税務簿価と直接費用が反映されません。売却益の計算と決済後の現金残高を別々に作り、税額は売却益を含む会社所得から見積もります。

借入完済額は税務上の損金と分ける

借入完済額は税務上の損金と分ける

ローン元本返済は現金を減らしますが、原則として売却益の損金ではありません。

借入返済を資金表へ、売却損益を損益表へ記載する

ローン元本の完済は現金を減らしますが、原則として売却益を減らす損金ではありません。 元本返済は現金支出として管理

金融機関の返済予定額を資金表へ入れ、決済後に残る現金を計算します。一方、損益表では売却対価、税務簿価、直接費用から売却益を求め、二つの表を混ぜません。

借入残高を売却益から直接差し引かない

借入残高を損金として扱うと、課税所得を実際より小さく見積もります。 返済額は手取りに影響しても売却益とは別

売却益の計算から借入元本を控除すると、税額見込みと決算損益が崩れます。決済資金の計算だけに返済額を反映し、損益計算との違いを取締役会資料にも明示します。

法人の固定資産譲渡収益は原則として引渡日の属する事業年度へ計上します。土地・建物等を契約効力発生日に収益計上している場合の取扱いも定められています。

出典:国税庁 法人税基本通達2-1-14

法人税率は法人区分と所得金額によって異なります。地方税もあるため、不動産売却益だけに一律税率を掛けて最終税額とはできません。

出典:国税庁 No.5759『法人税の税率』

土地と建物で消費税の扱いが違う

土地と建物で消費税の扱いが違う

課税事業者が国内の事業用不動産を売る場合、土地は非課税、建物は原則課税です。

売却価格を土地と建物へ配分して消費税を計算する

課税事業者が国内の事業用不動産を売る場合、土地と建物では消費税の扱いが異なります。 土地非課税・建物課税を分けて計算

契約上の売却価格を土地と建物へ分け、土地は非課税、建物は原則課税として消費税額を見積もります。あわせて会社が課税事業者に当たるかを確認し、法人税等とは別の欄へ納付見込を置きます。

税込総額のまま消費税を見落とさない

売却代金を一つの総額で扱うと、建物部分の消費税を手取りから確保できません。 建物分の消費税を別枠で確保

土地と建物の配分を決めないまま資金計画を作ると、申告時に消費税分の現金が不足します。価格配分と課税事業者判定を契約前に確認し、条件変更時は消費税額を再計算します。

法人税等は会社全体の所得から見積もる

法人税等は会社全体の所得から見積もる

本業損益、役員賞与、減価償却、税務調整を合わせた所得が税額の土台です。

月次試算表へ売却損益を反映して会社所得を見積もる

法人税等は、不動産の売却益だけでなく本業損益や税務調整を含む会社全体の所得で決まります。 売却益を会社全体の決算へ組み込む

売却損益を月次試算表へ反映し、本業損益、役員賞与、減価償却、税務調整と合わせます。確定していない項目は前提を付けた概算とし、決算見込みの更新日を記録します。

売却益だけに仮の実効税率を掛けて断定しない

他の所得や損失を外した税率計算では、実際の法人税等と一致しません。 税額は会社全体の所得で再計算

売却益だけから税額を決めると、本業の利益・損失や税務調整の影響を見落とします。月次試算表が更新されるたびに会社全体の所得と納税見込を計算し直します。

関連記事法人の不動産売却税を確認する

仲介・測量・解約費用を決済前に集計する

仲介・測量・解約費用を決済前に集計する

成功報酬や立退料、抵当権抹消費用などは請求時期と税務区分を確認します。

決済までに発生する費用を請求時期と区分別に集める

不動産売却では、仲介報酬以外にも測量、立退料、解約金、抵当権抹消費用などが発生します。 未請求費用も決済資金へ反映

契約書、見積書、請求書から費用項目と支払時期を一覧にし、税務上の区分を確認します。未請求の費用は見込額として資金表へ入れ、確定時に差し替えます。

仲介手数料だけで売却費用の集計を終えない

仲介報酬だけを差し引くと、決済時に必要な現金と税引後手取りを過大に見積もります。 費用漏れは手取りの過大計上につながる

測量や立退き、契約解除、抵当権抹消に関する費用が後から判明すると、当初の残額が減ります。関係者へ未請求項目を確認し、決済明細が確定するまで費用表を更新します。

事業者が対価を得て行う建物などの資産譲渡は消費税の課税対象となり、土地の譲渡は原則として非課税です。

出典:国税庁 No.6145『資産の譲渡の具体例』

土地と建物を一括譲渡した場合は、消費税の計算でも合理的な区分が必要です。契約書の価格配分と税務処理を照合します。

出典:国税庁『建物と土地との一括譲渡の場合の課税標準』

税金の納付まで資金を別管理する

税金の納付まで資金を別管理する

法人税等と消費税は原則として決算後2か月以内に納付します。

法人税等と消費税の納付見込を別口座へ移す

法人税等と消費税は、原則として決算後2か月以内の納付を見込んで管理します。 納税資金は税目別に隔離

決算見込みから法人税等と消費税の概算額を税目別に計算し、売却代金から分けて管理します。申告額が固まるまでは納税用の残高を使わず、更新した見込額との差額だけを調整します。

決済直後に残額を全て配当や再投資へ回さない

納付前に現金を使うと、決算後に税金を支払う資金が不足します。 配当・再投資は納税資金を除いた後

決済口座の残高をそのまま余剰資金とみなすと、法人税等と消費税の納付時に資金繰りが悪化します。支払期限まで納税口座を維持し、配当や投資の判断はその残額で行います。

会社に残す運転資金を先に決める

会社に残す運転資金を先に決める

人件費、家賃、返済、仕入れなど数か月分の支出を残額から確保します。

数か月分の固定支出から最低現金残高を決める

税引後に残る現金の全額を使えるとは限らず、事業継続に必要な運転資金を先に確保します。 翌期の固定支出を先に確保

人件費、家賃、借入返済、仕入れなど、今後数か月の支出予定を並べます。その合計から最低限残す現金を決め、取締役会で金額と対象期間を承認します。

税引後残額をすべて余剰資金とみなさない

売却後の事業支出を除外すると、会社が自由に使える金額を過大に判断します。 余剰資金は運転資金控除後に確定

税金を差し引いただけの残額から配当や投資を行うと、人件費や仕入れの支払いに影響します。最低現金残高を下回らないかを月次で確認し、支出予定が増えたら余剰資金を減額します。

会社に残る手取りと株主個人の手取りは別に計算する

会社に残る手取りと株主個人の手取りは別に計算する

会社に残る手取りと、配当・役員退職金などで個人へ移した後の手取りは別です。

会社段階と株主個人段階の手取りを二段で試算する

法人に残る現金と、株主個人が受け取る金額は同じではありません。 法人手取りと個人手取りを二段で確認

まず会社の売却益と税引後残高を計算し、次に配当や役員退職金などで個人へ移す場合を別に試算します。会社と個人の税負担を分け、最終的に個人が使える金額まで確認します。

会社名義の現金を株主個人の資産と混同しない

法人の口座残高は、株主がそのまま私的に使えるお金ではありません。 個人へ移す段階の税金を忘れない

会社の現金を個人資産として扱うと、配当や役員退職金などで移す際の追加税負担を見落とします。資金移動の方法を決める前に会社・個人双方の試算を作り、受取後の手取りで比較します。

青色申告書を提出した事業年度の欠損金は、一定要件の下で各事業年度開始の日前10年以内のものが繰越控除の対象です。

出典:国税庁 No.5762『欠損金の繰越控除』

法人税等の確定申告と納付は、原則として事業年度終了日の翌日から2か月以内です。決算後の納税日から逆算して資金を確保します。

出典:国税庁 C1-1『法人税等の確定申告』

法人の不動産売却後の手取りに関するよくある質問

法人の不動産売却後の手取りに関するよくある質問

借入金は売却益から引けますか

元本返済は現金を減らしますが、原則として売却益の損金ではありません。

土地にも消費税がかかりますか

土地の譲渡は非課税ですが、建物は課税対象になり得ます。

税率を掛ければ手取りが出ますか

会社全体の所得と地方税、消費税、借入返済を含める必要があります。

会社のお金を個人で使えますか

会社から個人へ移す方法により追加課税が生じるため、別段階で検討します。

法人の消費税確定申告と納付は、原則として課税期間終了の日から2か月以内です。法人税等と別に納税資金を見積もります。

出典:国税庁 No.6610『法人の消費税申告期限』

事業者が対価を得て行う建物などの資産譲渡は消費税の課税対象となり、土地の譲渡は原則として非課税です。

出典:国税庁 No.6145『資産の譲渡の具体例』

法人の最終手取りを一枚で確認しませんか

税金、借入返済、費用、運転資金を反映し、再投資可能額を求めます。 個別の税務判断と申告は税理士が確認します。

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